トンプソン :バッハの5つの二声インヴェンションへの第2ピアノ
Thompson, John:Second Piano Accompaniments to Five Two-Part Bach Inventions
解説 : 西原 昌樹 (611文字)
トンプソンが、バッハの二声インヴェンションから5曲を選んで第2ピアノを付けたものである。複音楽の学習コースとしては、昔も今も、まず入門に「アンナ・マグダレーナ・バッハのためのクラヴィーア小品集」を学び、次に二声インヴェンションに進むのが一般的であろう。多くの学習者にとってインヴェンションが本格的な多声音楽との最初の出合いとなるが、抽象性の高さゆえのとりつきにくさから、レッスンが停滞することも珍しくない。トンプソンの本作はこの「最初のつまずき」を少しでも軽減しようとするものである。トンプソンの書いた第2ピアノは、バス音の補強、ハーモニーの拡充、オブリガード旋律の追加などオーソドックスな手法によるもので、原曲に彩りを添え豊かに響かせる優れたアレンジである。原曲に立ち入るような渡り合いは意図的に控えてある。学習者は余計な妨げを受けることなく、充実した音響のバックアップを得て自信を持って原曲に集中できる。出版譜はスコア形式で、原曲もトンプソンにより速度表示とアーティキュレーションが施されている。生徒と教師、あるいは生徒同士で弾いてリサイタルの演目とするとよい旨、トンプソン自身が推奨している。
第1番 ハ長調 4分の4拍子 アレグロ
第4番 ニ短調 8分の3拍子 アレグロ・モデラート
第8番 ヘ長調 4分の3拍子 ヴィヴァーチェ
第10番 ト長調 8分の9拍子 ア・ラ・ジーグ
第14番 変ロ長調 4分の4拍子 アレグレット
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