モーツァルト : 〈ロンドンのスケッチブック〉より ロンド ヘ長調 K.15hh
Mozart, Wolfgang Amadeus : W.A.Mozart: Londner Skizzenbuch F-Dur K.15hh
作品概要
ジャンル:種々の作品
総演奏時間:1分30秒
著作権:パブリック・ドメイン
解説 (1)
演奏のヒント : 大井 和郎
(806 文字)
更新日:2025年10月9日
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演奏のヒント : 大井 和郎 (806 文字)
完全な2声の曲で、時にカノン的な動きも見せます。両声部をリスペクトし、音楽をわかりやすく聴かせる事を目指してください。この曲は,歌と言うよりは器楽的要素が強い曲で、弦のアンサンブルをイメージしても良いと思います。17〜24小節間などは、割と難しい箇所であり、このような部分は平坦になりがちです。このような部分はまず上の声部のみを弾いてみて、上行するにつれて音量を上げ、下行するにつれて音量を下げるように弾いてみて下さい。そして次に、左手(下の声部)を全く同じマナーで演奏し、それを最終的に合わせると、必ずしも両声部が同じ場所で同じ強弱とは限らず、むしろ異なる結果になります。
17〜18小節間、右手は最高音Bに向かってクレシェンドをかけていき、左手は、Cから逆に下行しますのでディミヌエンドをかけます。次に19小節目で左手が上行しますのでクレシェンドをかけ、右手は、Cから下行しますのでディミヌエンドをかけるといった具合です。このように、声部を完全に独立させることで、アンサンブルは立体的になり、両声部をリスペクトできます。
このロンドは方向性も大事です。例えば1〜4小節間、向かうべきゴールは3小節目の右手Aです。そこまで行くには、1〜2小節間のFの連打を少しずつクレシェンドして行きます。左手も、下行していますが、ゴールの3小節目を目指し、下行しながらクレシェンドをかけていきます。
これらの例の様に、両声部が同じゴールを目指す場所もあれば、全く異なる動きをする部分もあります。上行はクレシェンド、下行はディミヌエンドとは限らず、状況に応じて一緒にゴールを目指したり、独立した動きをしたりしますので、先生と相談して、曲を作ってみて下さい。