バッハ :おお主なる神、われを憐れみたまえ BWV 721
Bach, Johann Sebastian:Erbarm' Dich Mein, O Herre Got BWV 721
演奏のヒント : 大井 和郎 (496文字)
この曲の演奏のヒントと言うよりは、失敗例を述べます。
1 メロディーラインと伴奏の区別が付かない演奏
メロディーラインははっきりと、誰が聴いてもわかるようにバランスを取ります。
2 最初から最後まで強弱が変わらない演奏
フレーズは、6つあります。この中でどのラインが最も穏やかで、どのラインがテンションが高いか判断し、強弱が一定にならないようにします。今現在どの調にいるのか、またフレーズの中で、テンションの低い音と高い音を決めて、方向性を持たせること等、多くの事を考えます。
例えば、28小節目から始まる6つ目のフレーズは、Dから始まり、30小節目にはオクターブ上のDまで達します。その間、左手は徐々に左右の手が離れていき、テンションを高めます。一度ピークに達したら、31小節目以降、徐々に下行し、Fisに至りますので、伴奏部分もそれをサポートするようにします。
また、各フレーズの最後の音には絶対にアクセントを付けないように気をつけます。
3 繰り返しの2回目は1回目と同じになってしまう演奏
なにかしらの変化が欲しいです。2回目は内声を出すとか、全体をppにするとか、何らかの違いを付けるようにします。
演奏のヒント : 赤松 林太郎 (479文字)
クラヴィーア(独 Clavier)はラテン語のclavisから派生した言葉で、バロック時代のドイツでは鍵盤楽器の総称として用いられました。教育的作品としての《インヴェンションとシンフォニア》や《平均律クラヴィーア曲集》では、チェンバロで弾くのが相応しい曲ばかりではなく、ベーブング奏法によるビブラートが可能なクラヴィコードで弾くことでより表現力が得られる曲、あるいは頭の中でオルガンの響きが鳴っているような曲もあります。現代のピアノが持つ表現力の豊かさでバロック作品の魅力に迫ることは、ピアノを弾く一つの喜びでもあります。
BWV 721はヨハン・ゼバスチャン・バッハの若い頃の作品とされている27のコラールの1曲。オルガンのための作品ですが、ピアノで弾いてもオリジナルの美しさを損ねることはありません。レガート・ペダルを十分に用いて、オルガンの響きをイメージした演奏を心がけましょう。※ご参考リンク:鈴木雅明氏 自宅における同曲の演奏
https://twitter.com/MSuzukiBCJ/status/1246737065678524416?s=20
われを憐れみたまえ、おお主なる神よ(オルガン用楽譜より)
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