連作「アポロンへのオマージュ」は編成の異なる8つの作品からなっており、若き日の私が感化を受けた8人の20世紀イタリアの作曲家たちへの献呈集である。
第3曲の「秋のモーメント」は、G.F.マリにピエロの「秋の前奏曲」(Preludi Autunnali, 1914)からタイトルを引いているが、マリピエロとの音楽的な関連性は薄い。穏やかな秋風の中に、冬の気配の接近を想う。調性はあるものの、基調が定まらない変則的なイ長調。この8曲の連作は「裏の顔」を持つ。不動明王の看族、八大童子を写している。この曲は第三者の「阿耨達多童子」(あのくだつたどうじ)を表したもの。2015年に一部補筆。(2019.5.20)