バッハ :第18番 前奏曲とフーガ 第18番 フーガ BWV 887 嬰ト短調

Bach, Johann Sebastian:Prelude und Fuge Nr.18 Fuge Nr.18 gis-moll

作品概要

楽曲ID:62219
楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:曲集・小品集
総演奏時間:5分10秒
著作権:パブリック・ドメイン

ピティナ・ピアノステップ

23ステップ:発展3 発展4 発展5 展開1 展開2 展開3

楽譜情報:2件

解説 (1)

演奏のヒント : 大井 和郎 (750文字)

更新日:2023年9月14日
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平均律曲集第1巻のgis-mollを聴けば、この第2巻のgis-mollと共通する部分が見いだせると思います。この調は決して楽天的な調ではなく、悲しみの表現と考えて下さって間違い無いと思います。特にこのフーガは、長いフレーズでそれが表現されるのですが、後ろに行けば行くほど、悲しみの度合いは深まります。

バッハはさらに、この時代には御法度であった、半音階的進行を使い、悲しみを表現しています。半音階的進行はこのフーガの随所に見られます。このフーガではテーマが11回出てきますが、最後のテーマは、この半音階的進行と完全に一致した状態で進んでいきます。

まず1小節目からのテーマですが1~4小節間としましょう。1~2小節間と3~4小節間はシークエンス上行形になっていますが、1~2小節間よりも、3~4小節間の方が、更に悲しみのテンションは上がると考えます。

5小節目に至って、アルトがテーマを始めますが、その時にソプラノは半音階的進行進行で進み、先ほどよりも、悲しみの表現が一層深くなっています。このように考えて進んでいきます。

テーマは111小節のE-dur以外は全て、gis-mollか、dis-mollで登場します。このE-durのテーマが唯一落ち着く感情のテーマかもしれません。終わりに近づくと、テーマの悲しみはより一層増します。

5小節目のテーマは、半音階的進行と一緒になっていると述べましたが、長2度の範囲の中の、たった3つの音(この場合、H His Cis)が上行したり下行したりするのですが、125小節目のテーマと一緒になる半音階的進行は、完全4度の中の6つの音(この場合、Gis Fisis Fis Eis E Dis)と音域も広がり、感情も強くなることがわかりますね。音量を上げて良い場所です。

執筆者: 大井 和郎
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