バッハ :第8番 前奏曲とフーガ 第8番 前奏曲 BWV 877 嬰ニ短調

Bach, Johann Sebastian:Prelude und Fuge Nr.8 Prelude Nr.8 dis-moll

作品概要

楽曲ID:62185
楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:曲集・小品集
総演奏時間:3分30秒
著作権:パブリック・ドメイン

ピティナ・ピアノステップ

23ステップ:発展3 発展4 発展5 展開1 展開2 展開3

楽譜情報:2件

解説 (1)

演奏のヒント : 大井 和郎 (714文字)

更新日:2023年9月14日
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バッハのdis-mollは悲しみの表現と言っても良いのですが、別世界の調でもあり、柔らかく、ストレートに強い表現はしません。バッハは、平均律第1巻の8番を、プレリュードはes-mollで、フーガはdis-mollで書くという奇妙な事をしています。この原因はわかっておりません。このプレリュードはどちらかと言うと、悲しみの表現ではなく、アルマンド的な舞曲の印象を受けます。故に、あまり速いテンポで進むのでは無く、あとあとの32分音符のことも考えて、少しゆったり目のテンポで良いと思います。

例えば15~16小節間を弾くと32分音符が右手に出てきますが、このときに32分が急いだように聞こえたり、忙しく聞こえるようなテンポではなく、32分音符が出てきてもスムーズに曲が進むテンポで良いかと思います。

曲はdis-mollから、Fis-dur、ais-moll、に転調します。ハーモニックシークエンスは多く登場しますが、本当に転調したと感じるのは先ほど述べた2つの調です。Fis-durはもしかしたら一時的とお考えになられる方も居るかもしれません。しかしais-mollは明らかです。ais-mollはdis-mollと比べてどちらの方がテンションが高いと感じますか?そしてたとえハーモニックシークエンスが来ても、次々と音色を変えてあげても良いと思います。

例えば25~27小節間は下行形シークエンスが1小節毎に書かれていて3つのシークエンスがあるのですが、この場合、下行形にもかかわらず、筆者はどんどんテンションが上がっていく感じがします。このように、シークエンスの和音のクオリティーを感じ取り、自分が感じるテンションを与えると良いです。

執筆者: 大井 和郎