ビール :第1番 終楽章 Op.57-1

Biehl, Albert: mov.2 Allegro grazioso Op.57-1

作品概要

楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:ソナタ
総演奏時間:0分40秒

解説 (1)

演奏のヒント : 大井 和郎 (1243文字)

更新日:2017年5月11日
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ソナチネ ハ長調 Op57-1 終楽章  単純で楽しい楽章です。この曲を演奏するにあたり気を配るところはダイナミックの変化かもしれません。筆者は今、ダイナミックマーキングが付けられている楽譜を見ていますが、恐らくこれは誰かが後から編集した楽譜ではないかと思っています。しかし定かではありません。また、筆者の楽譜には、8小節目2拍目の16分音符がGEFDと書かれています。このパターンは他に2回出てきますが、いずれもGEGEですので、GEFDはミスプリントかどうかも疑っています。  さてこの曲を3つに分けると、1-16、17-24、25-32、に分けられますね。最初の1-16小節間を見ていきましょう。この1-16小節間を2つに分けると、1-8小節間と9-16小節間に分かれます。1-8小節間はダイナミックマーキングが p です。そして9-16小節間のダイナミックマーキングはメゾフォルテです。まず学習者はこの8小節ずつ、2つのセクションのダイナミックの対比を明らかにしなければなりません。  冒頭、とにかくpから始まり、5小節目まで決して大きくしません。クレシェンドが始まるのは5小節目だからです。ではそれまでは全く平坦で良いかというとそうではなく、1-2小節間と3-4小節間の表情を少し異ならせます。1-2小節間はドミナントで終わりますので、疑問文のように少しだけ膨らみ、3-4小節間はトニックに戻りますので、解決部分とみなし、4小節目は小さく終わります。5小節目からクレシェンドをかけて8小節目のメロディー音Hまで辿り着くのですが、7小節目の左手の伴奏をご覧下さい。ここだけ4分音符が書いてあります。筆者も弾いてみたのですが、ここだけ4分音符分、音価を守って音を伸ばすとどうもしっくり行かないのです。この小節だけ、左手の伴奏を4分音符で書いたと言うことは、それだけ音量を大きくというメッセージかもしれません。必ずしも4分音符分しっかり伸ばさなくても良い場所であると思います。  9小節目からメゾフォルテで、1-8小節間よりも元気よく進みます。ゴールは勿論15-16小節間です。16小節目の最初の和音は、前の小節の和音の解決です。ここを少し音量を落とすか、または逆に音量を上げるかは奏者の自由です。  後半17からは、GAGA H H という素材が次に、HCHC D D に変わります。シークエンスですね。そしてDEDE F D E C D に辿り着きます。これら3つのシークエンスは必ず表情を変え、3つめに辿り着いて下さい。平坦にならないように注意します。21-24小節間も同様です。さて、24小節目に至って初めてフェルマータが出てきます。このフェルマータに前のめりに飛び込まないようにして下さい。時間を取ってゆっくりと辿り着きます。  25小節目からは1小節目と同じです。31小節目、ritも何も書いていませんが、少しだけテンポを引っ張って終わっても良いのではないかと思います。

執筆者: 大井 和郎