ヤマハ : 新版 みんなのオルガン・ピアノの本 2 かわいいおんがくか(ドイツ民謡)
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作品概要
解説 (2)
演奏のヒント : 大井 和郎
(570 文字)
更新日:2024年5月14日
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演奏のヒント : 大井 和郎 (570 文字)
まずはしっかりした音で、リズムやテンポに狂いが無く弾けるようになったら、少しずつ曲を作っていきましょう。
1 バランスに関して
基本的にメロディーラインは右手の上声部にあります。左手の音量を落として弾いて下さい。しかし、フォルテの練習無しでの左手の制御は、音抜けや、芯のある音が出せない、あるいは、ムラが生じる現象に繋がりますので、まずはフォルテでしっかりと全ての音を出せるようになってから、左手の音量を落とします。特に、左手の5の指がかすれないように、指の形を正しく、しっかり打伴できるようにして下さい。
2 強弱に関して
この曲はフレーズの繰り返しが多い曲です。2回同じ事をしないこと。同じ事が2回起きた場合、強弱の変化を付けてみて下さい。
3 フレーズの終わりの音に関して
フレーズの終わりの音は決してアクセントを付けないように、弱く弾いて下さい。
4 3度のバランスに関して
これはとても高度なテクニックになります。9~12小節間、右手の3度は、上の方の音を出して、下の方の内声を控えるようにすると綺麗な3度が出せます。内声は親指と思われます。親指は最も強い指なので、そのまま弾いてしまうと親指の方が鳴ってしまい、バランスが悪くなります。
親指を浮かすようにして、上声部(恐らく3の指)を強く打伴出来るように鍛え、重心を3の指にかけててみてください。
解説文 : 熊本 陵平
(1159 文字)
更新日:2024年10月9日
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解説文 : 熊本 陵平 (1159 文字)
全体の構成としては、二部形式。
A[a(冒頭アウフタクト含む1から4小節)+a1(4小節アウフタクトから8小節)]
B[b(8小節アウフタクトから12小節)+C終結(12小節アウフタクトから14小節)]
大楽節Aにおいて、小楽節aがほぼ同一反復される構成となっている。aとa1との違いは1小節目1から2拍目が四分音符二つとなっているのに対して、5小節目1から2拍目は二分音符一つとなっている。この些細な違いをどう捉えるべきか。
例えば、前半4小節は拍感を意識して表現するのに対して、後半4小節は変化した二部音符を軸に捉えて、より伸びやかに大きくフレーズの山を形成するように表現を変えて見てはどうだろう。いずれにせよ、このような小規模の楽曲において、少しでも小さな変化があれば、それを見逃さず、表情の変化への鍵と捉えると豊かな音楽表現へのヒントとなるかもしれない。
楽曲の構造上特に気をつけたいポイントは大きく分けて二点。
一つ目は大楽節A、左手の伴奏形にある。上声の旋律線とこの伴奏があまりにも近いため、バランスが悪く、伴奏の方が大きく聞こえやすくなってしまう。シーソーのイメージで右手の旋律線を少し重く、左手の伴奏形を少し軽くなどとコントロールできるように工夫して練習した方が良いだろう。
二つ目は大楽節Bにおいてのフォルテとピアノのデュナーミクの差。音域が異なれば、音色の変化も相まってメリハリがつけやすいが、ここは同じモティーフの同じ音域での反復である。これは一見すると簡単そうに見えるが、音量の差というより、雰囲気自体に変化をつけるつもりで明確に意識しないと、思っているよりメリハリがついていないように聞こえてくるだろう。
もう一つ注意点を挙げるとすれば、Aの主題での四分音符の同音連打だろうか。Aの主題は、上行するラインと下行するラインによって構成されている。従って、この四分音符を繋がりが感じられないようにハネたり、リズムがバラバラになってしまうと主題が形成している上下行のラインが感じられない。くれぐれも、レガートの指示はないものの、横の繋がりを意識して演奏したい。
なお、楽譜の冒頭に「☆スタッカートは、みじかくきりすぎないようにしましょう。」という指示があるが、これは短く切りすぎることによる弊害を考えていけば、なぜそれに気を付けるべきかが理解できる。それは、和音やメロディラインが十分に響きを確保できなくなることが想定され、また突然の鋭いスタッカートは楽曲のバランスや雰囲気を崩してしまうことにもなるだろう。
※実際に短く切った場合とそうでない場合を弾き比べてみせることなどを推奨します。指導者の演奏は、常に模範的であるばかりでなく、時にはあえて悪い例を提示することで、生徒の理解を深める方法もあります。
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