6.イワンの趣味馬
まさに馬の走りを描写しているリズムが続く曲ですので、軽快さが必要になります。そのためには、8分音符+16分音符2つ のリズムで、8分音符の部分を短いスタッカートにすることが大事です。少しテンポが遅くとも、アーティキュレーションはこの曲の最も重要な部分です。
そこで提案ですが、16分音符2つが終わると次に8分音符が待っていることが多いので、この3つの音符を1つまとめにしてしまいます(そういう考え方にします)。3つの音を下記で確認します。 1つ目の音 1小節目、1拍目裏拍のEとG 2つ目の音 1小節目、1拍目裏拍のC 3つ目の音 1小節目、2拍目表拍のEとG このとき1つ目と2つ目の音には力を入れず、3つ目の音のみに力を入れるようにします。また、3つの音を1つまとめで一気に弾くようにします。3つ目の音を弾いたとき、反動で指が少し上がるようにします。指で弾くというよりは、手首を使い、回転させるような気持ちで3つを一気に弾くと良いでしょう。3つ目の音を弾いたとき指を上げるのは、アクセントとスタッカートが欲しいからです。 この奏法で曲全体をドライブしてください。以下、注意点です。
◉ 4小節目、筆者の楽譜には、左手のメロディーが、B As B C と書かれています。ところが、ネット上の動画には、B As H C と弾かれています。2つのヴァージョンがある可能性があります。しかしながら、29小節目に書かれている右手のメロディーは、H A H Cisで、それぞれの音程は全て長2度になります。そうなると、B As H C の方がミスプリントと思いたくなりますが、奏者はそれぞれの楽譜に従ってください。
◉ poco rit や rit などの特別な指示がない限りは、この曲は淡々と前に進むべきで、走ったり、遅くなったりしないように気をつけます。
◉ 右手や左手に現れるメロディーラインは、基本的に、特別なシェーピングをせず、むしろ打楽器的にアクセントを付けて演奏して良いと思いますが、3-4小節間の主要主題を例に取ったとき、最も大きくなるのは、3小節目の2拍目の音であると思います。以下同様の処理をします。