3.イワンは病気
色々な意味で理解しづらい曲でもあるので、まずは形式から分析してみましょう。ABA形式です。A(1-8小節間)B(9-16小節間)A(17-32小節間)になります。曲を理解するために、まずは右手の各和音の1番上の音のみを抜粋して弾いてみましょう。メロディーのみを単旋律で弾いてみると、そこまで理解しづらい曲ではないことがわかります。特にBセクションはメロディーだけ弾いてもAs-mollと調判定しても良いくらいですね。それでは実際に演奏する時、今抜粋した和音のトップの音が、最もよく響くようなバランスを目指し、右手の薬指や小指に神経を集中させてください。
次にシェーピングに関する話ですが、Aセクションにおいては、2小節ずつのフレーズとなります(2小節X4)。この4つのフレーズ全て、「3つ目の和音」を目指します。即ち、1-2小節間では、2小節目の1-2拍目の和音、3-4小節間では4小節目の1-2拍目の和音となります(以下同様)。3つ目の和音に向かって少し大きくして、3つ目に達したら衰退するようにします。
このAセクションの4つのフレーズをダイナミック的に見た場合、4つ目が最も大きくなると考えていいと思います。そうなると、1つ目のフレーズから徐々に、先ほどのシェーピングを守りつつ、4つ目に向かって音量を上げていってください。
Bセクションのシェーピングに関しては、奏者に委ねることとします。このセクションもフレーズが2小節単位になります。各2小節の中で、最もエネルギーを必要とする和音を決めてください。16小節目から17小節目のAセクションに戻る際、表示は何も書いていませんが、少しだけゆっくりして17に入っても良いと思います。
なお、テンポですが、メロディーラインがスムーズに繋がるようにテンポ設定をして良いと思います。
この曲でよく発生する基本的な問題は、譜読みの間違いです。各和音が自分の中でしっくりこなかったとしても、臨時記号に気をつけて落ち着いて音を読み、譜読みの間違いが無いようにします。