2.イワンは今日外に出られない
この曲で吟味することは速度の問題です。弾き手によってテンポが変わるのはどの曲にでもあることですが、ここまで極端にテンポの差が出る曲も珍しいと思います。仮にこれがスケルッツオというタイトル通りであれば、3/8拍子とは言え、4小節を4拍子感覚で数える、所謂ショパンなどのスケルッツオと同じ感覚で良いのではないかと筆者は考えます。
つまり、この曲を3拍子に感じながらの演奏ではテンポは極端に遅くなければなりません。そしてそのような演奏例は実際に存在します。奏者は教師と相談の上、また教師は出来る限り多くのレコーディングを聴き、気をつけてテンポを選んでください。ちなみに筆者が演奏する場合はかなり速いテンポとなります。
この曲で次に大切なことは、流れがスムーズでなければならないと言う事です。そのためには、ダイナミックが常に変化する事が必要となります。さて、ここから先は筆者の独断で分析をしていきます。
◉ 1-8小節間 5小節目に向かってクレシェンド、以降ディミニュエンド。
◉ 9-12小節間、5-8小節間よりも少しだけ大きめにクレシェンド、ディミニュエンド。
◉ 13-16小節間、ディミニュエンド 理由は17小節目がsubitoフォルテになるため。あるいは、クレシェンドして17に辿りついても構わないと思います。
◉ 17-20小節間、音の下行とともにディミニュエンド。
◉ 21-26小節間、22小節目をピークにクレシェンド、ディミニュエンド。
◉ 27-28小節間、ブリッジの部分です。奏者の考えるように自由に弾きます。
◉ 29-36小節間、29小節目からディミニュエンド。
◉ 37-46小節間、この曲で最も大きくなる部分です。37から常にディミニュエンド。
◉ 47-50小節間、rit等は書いていませんので、少し衰退する程度にします。曲を止めないように。
◉ 55-62小節間、1-12小節間と同じです。
◉ 63-68小節間、ダイナミックマーキングの通り、subitoでダイナミックを変えます。
◉ 69-73小節間、フォルテのまま進みます。
◉ 74-86小節間、ディミニュエンドで最後まで。