作品概要
解説 (1)
解説 : 西原 昌樹
(578 文字)
更新日:2023年10月4日
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解説 : 西原 昌樹 (578 文字)
更新日:2023年10月4日
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ロシェロールはアメリカ人だが、家系のルーツはフランスにある。フランスに残ったロシェロール本家とは親族同士の交流があり、フランス中部のロワール渓谷、中世からの由緒あるロシェロール城(Château de la Rocherolle)に毎年のように滞在した経験からこの組曲が生まれたのだという。Guy and Monique Rocherolle への献呈。成立経緯からは、懐古的でメルヘンチックな曲想を想像するが、そんな安直な先入観は、大勢の給仕人や使用人が行き交い、人々の思惑の交錯する往時のバックヤードのざわめきを活写したオープニングで直ちにくつがえされる。古城はロマンティックな外観だけで人を惹きつけるのではない。作曲者は、美しい威容や贅を尽くしたしつらいはもとより、長い風雪の刻んだ陰影、人々の哀歓を呑み込んできた凄み、底知れない暗部をも鋭く見つめ、冷徹な筆致で歴史の多面性に迫る。終曲の「音楽室」にしても、そこに置かれたアンティークのプレイエルピアノから流れ出すのは、まぎれもなくショパンを思わせる調べには違いないけれども、砂糖菓子のように甘ったるいショパンではない。憂愁、焦燥、諦念に彩られた、例えば嬰ハ短調ワルツ(Op. 64-2)のようなショパンなのである。全体にロシェロールのピアノ曲としては難度が高く、チェルニー40番以上の技術を要する。
執筆者:
西原 昌樹
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楽譜
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