ウオーキングベースのような、連続する8分音符がバス部分に書かれていますが、躍動的に進むかどうかは疑問です。そもそもアルマンド自体がわりとゆっくりとした舞曲ですので、筆者であればレガートで、できる限り拍を刻まないように配慮します。
前半と後半では少し異なる部分があります。前半では、「3度下がってから大きく上に跳躍する」という素材が5箇所あります(3小節目1~2拍間、4小節目1~2拍間、6小節目1~2拍間、8小節目1~2拍間、10小節目1~2拍間)。この中でテンションの高いのは3小節目で、この場合10度も上行します。比較的穏やかなのが4小節目と6小節目、そして8小節目はd-mollに転調したときの跳躍ですので、これもテンションは高いです。
音の高さで考えれば前半は、Bが最も高い位置にあり、3小節目、6小節目、9小節目にそれぞれありますが、6小節目の場合、長調に転調した上でのBですので、どちらかというと柔らかめに弾いて良いでしょう。そう考えると、9小節目のBの方が、6小節目や3小節目よりもテンションが高いかも知れません。
後半は、g-mollから始まり、F-dur、c-mollと目まぐるしく調が変わります。その後16~17小節間でハーモニックシークエンスで上行し、g-mollに戻ります。筆者であれば、途中のc-mollにテンションの高さを感じますが、それは奏者に委ねられます。奏者は、どの調の部分が最もテンションが高いか、穏やかであるか、それぞれのムードを変えて演奏してみて下さい。