まず、これを弾く前に、是非このオリジナルをお聴き下さい。Benedetto Marcello: 12 Concerti grossi, Op. 1 | No. 2 | 1708 これがこの曲のオリジナル版です。お気づきになられた方もいらっしゃると思いますが、このアダージョは冒頭から、9小節目まで、楽譜上2拍目は4分休符となっており、つまりはサイレントになります。これをそのままピアノで弾くと、実に無味乾燥的な演奏になってしまうのが解ると思います。
ところがオリジナルを聴くと、オーケストラで、弦が1拍目を強くフォルテで演奏することで、2拍目に余韻が残るのです。勿論ホールの音響にもよると思いますが、作曲家はそこまで計算し、2拍目が休符であっても、余韻が残ってスムーズに3拍目のpに繋ぐことが出来るのです。
この余韻こそ求めていたものです。ところがピアノではなかなかそうは行きません(よほどアコースティックが良いホールを選ぶ事等をしなければ)。
そこで1案ですが、2拍目は故意に休符を取らず、ペダルで1拍目の音を伸ばし、2拍目は手は伴盤から離れるものの、音そのものはペダルで伸ばされ続け、3拍で切り替えるというアイデアです。
勿論それによって休符は失われることになりますが、流れを1小節毎に切って止めるよりは遙かに音楽的に進む事ができます。以下、同じような場所は同様に演奏します。