大変、平坦になりやすい楽章です。きちんと分析をして方向性を持たせることで曲が別物に変わります。87小節もある長い楽章ですが、テーマが新たに出てくる終止形的な箇所があります。もしもこの楽章のどこかの小節に16分音符が1つも入っていない小節があったら、そこが新たな始点となります。
1小節目 h-mollで始まります。
32小節目 fis-mollで始まります。
55小節目 h-mollに戻ります。
このように曲を3つに分けることでまとめやすくなります。このほかにもっと小さなカデンツの部分もあります(例:11~12小節間)。分け方は自由ですので、自分でキリが良いと思った箇所を抜粋しておきましょう。その上で、この曲に「方向性」を持たせて、ダイナミック(強弱)を変化させていきましょう。ピアノだからこそ出来る事です。
最後のセクションを例に取ります。これはほんの一例に過ぎません。
55小節目から始まり、一度57小節目でフォルテに上げておきます。なぜ
ならその先が下行形シークエンスだからです。61小節目、2拍目までディミヌエンドをかけ、61小節目、3拍目から今度はクレシェンドをかけていきます。上行形シークエンスが始まるからです。
64小節目、小さなカデンツの部分を迎え、65小節目、ppから始まります。65、66、67とクレシェンドをかけ、68小節目、再びppに落とします。ここから2小節単位のシークエンスが始まります(68~69、70~71、72~73etc)。この上行形シークエンス(68~79小節間)徐々にクレシェンドしてテンションを最高潮まで上げていきます。
80~82小節間、決してテンションを下げません。83小節目、一度音量を落としますがテンションは保ったままでクレシェンドをかけ、最後のカデンツに達するようにします。