この楽章はかなり速いテンポで弾いた方が良いです。17~19小節間のような、繰り返しは至る所に見られ、このような部分を遅く演奏してしまっては、間延びしてしまいます。テンポを速くすることにより、トッカータ的な技法を聴かせることができ、シークエンスがより聴きやすくなり(例えば7~16小節間)、楽しさも倍増します。
もう1つは方向性を持つことで、各フレーズ、あるいはセクションのゴールになるべき箇所を把握しておきましょう。例えば1~21小節間で一区切りとし、20~21小節間が終止形(カデンツ)とするのであれば、その21小節間で、最もピークに達するところを決めておきます。
例えばですが、1~2小節間と3~4小節間は同じフレーズですが、3~4小節間の方がテンションが高いことが解ります。そして5~6小節間は最も大きくするのですが、7小節目で一度ppに下げ、そこから徐々に19小節目に向けてクレシェンドをかけていきます。17~19小節間は全くおなじ音とリズムですが、ここでも、17小節目よりは19小節目の方を大きくするようにコントロールしてみてください。
実際問題、7小節目から19小節目までクレシェンドと言っても、なかなか難しいと思います。このような時は必ず一度音量を落とす場所を作るようにします。7小節目からクレシェンドで16小節目まで達したとします。そして17小節目で一度音量を落とします。そして再びクレシェンドで19小節目に達するようにし、20小節目のカデンツを迎えます。