まず、この曲を演奏する前に是非やって欲しいことはヴィヴァルディの原曲を聴いて欲しいと言うことです。ハープシコードのみで演奏されているこの曲を聴くのと、原曲を聴くのでは差があります。そしてそれを現代のピアノで弾く場合、個人的には原曲の弦のアンサンブルを真似て欲しいと思います。

ハープシコードで聴くといささか硬いイメージがありますが、弦のアンサンブルは実にスムーズです。余計な箇所に時間を取ったりはしません。そして、層が厚いtuttiの部分と、soloの部分との分け方にも参考になります。

この曲の性格から申し上げますと、原曲には威厳があり、美しさがあり、楽しさもあり、悲しみのイメージでは無いと筆者は感じました。全体ががっちりしている硬いイメージでは無く、柔らかな音がスムーズに流れる音楽という印象です。

ピアノで演奏するときも、そのようなイメージを持たれ、極端に強弱の幅を広げる事をせず、テンポを崩さず、その中で柔らかく、スムーズなイメージで演奏してみて下さい。