このプレリュードで陥りやすい問題としては、強弱が平坦になってしまうことがあげられます。これから述べる事は強弱をコントロールするための、1つのガイドラインです。
1小節目左右の手が割と離れていますので、ある程度フォルテ、またはメゾフォルテでスタートします。フォルテで始めるもう1つの理由としては1~3小節間音が下行しているため、1小節毎にディミヌエンドをかけるからです。
4小節目に入り、バスの音数が倍になりますので、テンションを上げますが、この、4~5小節間の強弱は、ディミヌエンド、クレシェンド、あるいはその細かい組み合わせでも良いのですが、奏者が6小節目に待っているB-durを、冒頭のEs-durと比べてどのように感じるかにもよって変わってきます。
ディミヌエンドでスムーズにB-durに入っても構いません。さて、B-durに入ると、6~8小節間、再び音は下行しますので、ディミヌエンドをかけます。
再び8~9小節間でバスの音数が倍になります。ここまでは先ほどと同じですね。
変わってくるのは、11~13小節間、バスの音が更に倍に増えます。音形は下行ですが、14小節目のC-mollはテンションが高くても構いませんので、下行形シークエンスにかかわらずクレシェンドをかけても可能です。
これらはほんの一例に過ぎませんが、Es-dur、B-dur、c-mollと転調しますので、奏者がそれぞれの調に対して感じる強弱を決め、それに対して、あるいは、それに向かって、の音量の変化を付けてみて下さい。