ローゼンブラット :「カマリンスカヤ」~2つのロシアの主題によるファンタジー
Rosenblatt, Alexander:Kamarinskaya
執筆者 : 加藤 麗子 (513文字)
この作品は「モダン・ピアノ・デュオ」というローゼンブラットが主宰するオレグ・シンキンとのピアノ・デュオの歴史の幕開けを飾るものとなった。原曲は1991年、オーケストラの為に作曲されている。この2台ピアノ編が作曲される以前の1980年代、ローゼンブラットは自らソロリサイタルで自作の「パガニーニの主題による変奏曲」や「ピアノソナタ」を演奏していた。しかし、同時にそのような活動にもの足りなさも感じていた。そのような折、親友であるオレグ・シンキンによって「あなたには、オーケストラの為のカマリンスカヤ・ファンタジーがあるのだから、2台ピアノの為に編曲したらどうか」というアドバイスを受けた。そしてローゼンブラットは初のCD制作において、オレグ・シンキンとのピアノ・デュオによってこの曲のレコーディングを実現。彼らは二人とも同じ世界観と時間感覚、そして同じ物事の受けとめ方ができる理想的なデュオだった。これがきっかけとなって今日の「MPD(モダン・ピアノ・デュオ)」があるという。この曲にはミハイル・グリンカ(ロシアの作曲家)の「カマリンスカヤ」と同じ主題が使われ、ジャズ風に展開していくローゼンブラット独自の語法が溶け込んでいる。
検索