ロ短調、冒頭に「悲しげに」、sempre legato e molt espressivoと書かれており、一曲を通してずっとレガートで表情豊かに演奏することが求められています。
左手から2つの8分音符と2つの4分音符の同音連打のモチーフが象徴的になり始めると、2 小節目で右手が短2度上で同モチーフを奏で始めます。短2度の不協和のぶつかりが痛々しく、痛みを伴う悲しさを想像させます。そのぶつかりは5、10、13小節目でも登場します。4小節フレーズですが、13小節目からのフレーズは、1小節引き伸ばされ、5小節フレーズで、行き着いたffで強い感情が吐露されます。残る8小節は、スラーが細切れで、これまでの長いフレーズ感と異なる息遣いが求められます。半音階的な下行する動きが始まり、それまでの同音連打のモチーフから離れ音が動き出すシーンです。内声の半音階の長い音(付点2分音符)もよく聴きましょう。