ローリー(ローレイ) :小フーガ 第5番
Rowley, Alec:Miniature Fugue No.5
ピティナ・ピアノステップ
23ステップ:基礎3 基礎4 基礎5
解説 : 今関 汐里 (96文字)
ヘ長調、8分の3拍子。4小節からなる左手の旋律が主唱となり、5小節目からの応唱は、5度上のC音から追いかける。右手と左手がそれぞれ独立した声部を持つため、両声部のバランスに注意して演奏したい。
演奏のヒント : 大井 和郎 (1039文字)
この曲を上手に弾くコツは、左右の声部を個別に考えて演奏する事に尽きます。強弱記号が書かれていますが、鵜呑みにしてはいけません。ここに書かれてある強弱記号は、その小節とかその場所という考え方ではなく、セクション全体を考えるとよいです。例えば、冒頭1小節目に書かれてあるフォルテは、最初のFを極端に大きくするのではなく4小節間とか、8小節間とか、セクション全体を表現しているものと考えます。
もっともこの時代に書かれていたダイナミックマーキングであるのか、編集者が書き込んだものかはわかりません。いずれにせよ、たとえ作曲家が書き込んだものと仮定しても、現代の楽器で演奏することは、その時代の演奏とは異なりますので、あまり気にしなくて良いと思います。
そう考えたとき、冒頭はpから初めて、12小節目の、a-mollのセクションからフォルテになっても構わないと思います。筆者であればそのように演奏すると思います。
このフーガの主題は4小節間と仮定します。解りやすい例で言うと冒頭4小節が主題と考えます。主題は各小節毎に2度ずつ上行し、4小節目で下行しますね。故に、pから始めたとして、3小節目に向かって徐々に音量を上げていき、4小節目で再びpに戻るように弾きます。5ー8小節間の右手は、C-durの主題となって出てきますね。
学習者に取って、最初のF-durの主題と、C-durの主題ではどちらの方が大きいでしょうか?担当の先生とお話ししてみましょう。11小節目、a-mollで主題が始まりますが、この始まりのAは10小節目の解決音であるとも考えますので、前の小節のGisよりも弱く弾くことが望ましいです。そして左手も、10小節目E、11小節目にAと下行して来て一区切りつきますので、このAはやはり弱いです。
A-mollのテーマはもしかしたら今までで最もテンションが高いかも知れませんので、フォルテでも構わないのですが、13小節目が右手の声部のピークポイントになり、15小節目がもう1つの声部もピークポイントですので、それぞれの声部は個別に扱い、左右の手が同じ音量にならないように気をつけます。
17小節目で再びF-durに戻りますね。今度はミラーリングと言って、楽譜を上下逆さまにして読むと、1ー4小節間と一致しますね。今度はもしかしたら17小節目が最も大きく、徐々に下がって19小節目にたどり着き、再び20小節目でクレシェンドするという、1ー4小節間とは逆のダイナミックでも面白いと思います。
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