フンメル :フルートソナタ 第2楽章 Op.50

Hummel, Johann Nepomuk:Sonate für Flöte und Klavier Mov.2 Andante

作品概要

楽器編成:室内楽 
ジャンル:ソナタ
総演奏時間:3分10秒
著作権:パブリック・ドメイン

解説 (1)

解説 : 今野 千尋 (800文字)

更新日:2019年3月6日
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第2楽章 Andante、ニ短調、8分の6拍子

 第2楽章は2部構成になっている。第1部では冒頭2小節の動機をもとに器楽的な主題(動機a)が提示される。この動機は主にピアノが奏し、フルートはオブリガートでピアノの動機に応える。旋律は歌唱風の様式に転じ、ニ短調の悲哀の歌は平行調へと転じ、牧歌的な素朴なアリアへと変化する(動機b)。第2部は第1部の器楽的主題をヘ長調で奏するが次第に転調していき、主調の主題(a’’)に回帰する。ここで初めてフルートも動機を奏し、強い緊張をともなうクライマックスに至る。この動機は第1楽章にも見られたような上行半音階の音型を用いて展開される(フルートとピアノの右手)。さらに、付点16分休符によって途切れたこの半音階は、心の動揺、切迫した感情を表す修辞的音型suspiratio(モーツァルトの《幻想曲 ニ短調》K. 397でも見られる)の特徴も具えており、短2度の衝突、鼓動のように連打されるピアノ右手の16分音符、ピアノ左手とフルートの近接した模倣とともに強い情動を表現している。この不安定な心情は、一度はニ短調に解決することで落ち着くものの、コーダではイ長調に転調していく。これによって楽章としてのドラマの完結は保留され、解決の期待は第3楽章の第5小目へと先送りされる。

*〈形式図の見方〉

この表の見方この形式図は、各段を左から右へと読み、1段目、2段目・・・と上段から下段へと追っていく。 楽曲の構造上、共通する要素が縦に並んでいるため、どこでどのモチーフが表れているのかが一目で分かるようになっている。なお、各段の数字等の役割は、次の通り。 1行目:セクション名、2行目:小節数、3行目:モチーフ及びモチーフの小節数、4行目:調、 5行目:カデンツ(pedはドミナントの保続低音) 枠外下部の「!」は、カデンツの中断など、聴き手の期待から意図的に逸れる箇所を表す。

執筆者: 今野 千尋

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