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グルリット, コルネリウス : こども音楽会 勇気のある人 Op.210-6

Gurlitt, Cornelius : Der erste Vortrag Unverzagt Op.210-6

作品概要

楽曲ID:48784
楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:曲集・小品集
総演奏時間:0分40秒
著作権:パブリック・ドメイン

ピティナ・ピアノステップ

23ステップ:基礎3 基礎4 基礎5

楽譜情報:8件

解説 (2)

演奏のヒント : 大井 和郎 (489 文字)

更新日:2024年5月14日
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この曲の仕上がりの善し悪しは、強弱のコントロールに尽きると行っても過言ではありません。

強弱の幅をできる限り広く取ってみましょう。

この曲は、8小節のフレーズが4つあると考えます。1~8小節間、9~16小節間、17~24小節間、25~33小節間になります(4つ目のフレーズだけは9小節間になります)。

各フレーズの最後の小節にご注目ください。必ず、クレシェンド+フォルテ で終わっているのが解ると思います。つまりは、音楽の方向性は、最後の小節に向かって行くと考えます。ですので、例えば、1~4小節間がメゾフォルテだとして、5小節目で一度音量を落とし、ピアノから始まるのですが、7小節目からクレシェンドをかけ、8小節目は、解決和音にも関わらず、フォルテで終わってください。

次のフレーズも、14小節目からクレシェンドをかけます。以下同様です。

2つ目のフレーズは、左手の伴奏が8分音符になりますので、音量を上げすぎないように、右手とのバランスを保ってください。

最後の3小節間(31~33小節間)の和音は、右手の親指を控え、topの音(1番上の音)を出すようにすると綺麗なフォルテが出せます。

執筆者: 大井 和郎

解説文 : 熊本 陵平 (581 文字)

更新日:2024年10月9日
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 調性の推移としては、次の通り。主調はハ長調。Bより属調のト長調に転調。16小節でハ長調の属7和音によって半終止を形成し、17小節からAが主調によって再現される。

 全体の構成は以下の通り。

三部形式

A[a(1から4小節)+a1(5から8小節)]

B[b(9から12小節)+c移行部(13から16小節)]

A[a(17から20小節)+a1(21から24小節)]

コーダ(25から33小節)

 Aの構成では主題aの4小節がほぼ同じように反復されている。これに対して、Bの構成では、いささか流動的で、b楽節もaと違って動きが少なく曖昧としている。

 このことから、Aでは安定感のあるしっかりとした表情付けが見込まれるのに対して、Bではより長いフレーズ感によって不安定で移行的な雰囲気となり、この二つの大楽節の性格は正反対だと言える。

 原語の作品タイトルはUnverzagt。Unverzagtの意味は、恐れないや怯まない、断固とした、などが挙げられる。これは主題の性格を表しているように思える。

 1から8小節にかけて主題の提示であるが、この主題はⅠ(T)→Ⅱ(S)→Ⅴ(D)→Ⅰ(T)の和声カデンツを繰り返しながら、常に旋律線は上行ラインを辿る。こうした前向きな動き方が標題とリンクするのだろう。また、主音が保続音として常に主題の低音にあることは安定感のある響きを引き出している。

執筆者: 熊本 陵平

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