池辺 晋一郎 : 雲の散歩-こどものためのピアノ曲集 第7曲 昼さがりの雲は子守歌を歌う
Ikebe, Shin‐ichiro : Clouds Walk- The Piano Pieces for Children for small hands No.7
作品概要
解説 (2)
解説 : 今関 汐里
(354 文字)
更新日:2018年3月15日
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解説 : 今関 汐里 (354 文字)
作品は、A-B-Aの三部形式にコーダが付いた形の非常にわかりやすい構造になっており、基本的には右手が旋律を、左手が伴奏を担っている。A(1~8小節)の伴奏は、Es-durのドミナントである属七の第3転回形とトニック機能を持つVIのパターンの繰り返しからできており、Es-durのIの和音の不在により、夢見心地な気分が感じられる。
B(9~17小節)は、長音階、短音階の代わりに、エオリア旋法が用いられておりAとはまた違った形で夢うつつな表現が追求されている。2小節のモチーフが音の高さを変えて3回繰り返されたのち、16小節で最高音のg’’’に達したのち、A(18~25)へと回帰する。
頻繁な拍子の変化を伴うコーダ(26~31)では、Aの上行旋律が右手に用いられている一方で、対照的にバスの音型は下行する。
演奏のヒント : 大井 和郎
(630 文字)
更新日:2018年6月20日
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演奏のヒント : 大井 和郎 (630 文字)
この曲を演奏するにあたり気をつけることは以下の事柄になります。
1 ルバートを使ってたっぷっりと表現すること。決してメトロノームのように弾かないこと。
2 和音によって異なるムードに対してカラーを与えること。
3 譜面上には書いていない事にも気をつける。
形式はABAでAは1-8小節間、Bは9ー17小節間、戻ってくるAが18ー25小節間、Codaが26-31小節間になります。
冒頭の伴奏部分からみていきましょう。Aセクションは1拍目に付点2分音符、2拍目に2分音符が来る伴奏になっています。伴奏は柔らかく弾くに超したことはないのですが、特に2拍目の和音を静かに弾くようにします。1拍目よりも音量を落とすことで、流れがなめらかになります。
メロディーラインは十分シェイプ(形をたどる)して、歌のように演奏して良いと思います。強弱は、5-6小節間若干テンションが上がりますが、あくまでmpの範囲内にとどめておきます。1-2小節間より3-4小節間を若干落とし、5-6小節間よりも7-8小節間を若干落とします。
Bセクションは2小節単位でフレーズが進むと考えます。そうすると、9-10、11-12、13-14、15-17の4つに分けることができます(最後だけは3小節あります)。ここで考えて頂きたいのが各フレーズのムードです。4つともカラーを異ならせることで、異なった表情を表現することができますね。
Codaの部分、2重唱のように考え、左手のラインも歌うように弾いてみましょう。
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