左手は右手の6度下を奏でるデュエットです。右手はニ長調で歌われ「陽気」ですが、左手は嬰へ短調の1度の和音になりますので、左右があべこべな感じがあり、それが面白いところだと思います。13-16小節は、5-8小節で歌われた長調のメロディが突然短調になります。ここで私はシューベルトの歌曲、「笑いと涙 (Lachen und Weinen) 」を思い出しました。「朝には笑っていたのに夕方には泣いている自分の心がわからない」という移り変わる心の動きが、突然の転調によって表現されますが、この「陽気な歌」では、陽気に楽しく歌っていたのにふと不安なことを思い出したかのような4小節間の転調です。17小節目からは何事もなかったかのように、fで再び長調で再現されます。