カバレフスキー : 24の子供のためのやさしい小品 行進曲風に Op.39-3
Kabalevsky, Dimitri : 24 Petites Pieces Marching Op.39-3
作品概要
解説 (3)
演奏のヒント : 杉浦 菜々子
(303 文字)
更新日:2024年4月14日
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演奏のヒント : 杉浦 菜々子 (303 文字)
左手の上行形は、冒頭のファラから4小節目シレに向かって進行(行進)していきます。すると、再びもとのファラの場所に引き戻されて、もう一度進行(行進)が始まります。こうした大きな動きを左手から感じましょう。左手は、テヌートのついたスタッカートになっており、芯のある音で明瞭に発音し、鍵盤を離す(離鍵の)タイミングやスピードをきっちりと統一することが大切です。右手は、レミファソのたった5つの音でできています。左手よりもちょこちょことした小さな足どりを感じます。左手には3拍目の音がありませんので、右手の3拍目が乱れないよう気をつけて、アクセントがついてはいけませんが強拍の意識をしっかりと持って演奏しましょう。
演奏のヒント : 大井 和郎
(390 文字)
更新日:2024年5月14日
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演奏のヒント : 大井 和郎 (390 文字)
この曲の命は、右手の軽快なスタッカートです。スタッカートの曲は、ミスや、鳴らなかったり、擦れたり、という事が多く発生します。まずはレガート(ノンレガートでも良い)+フォルテでしっかり音の位置を覚えましょう。その上で、できる限り短いスタッカートで弾いて下さい。
一方で左手は、テヌートマーキングが書いてありますので、こちらは短く切ることをしません。そして4小節目の全音符は、きちんと全音符分伸ばしてください。
フレーズは4小節単位で2つとお考えください。1つ目のフレーズ(1~4小節間)は、4小節目のFに、2つ目のフレーズ(5~8小節間)は、7小節目のGに、それぞれ方向性を定めてください。基本的に、両フレーズとも、進んで行くに連れてテンションを上げて下さい。
テンポですが、マーチのテンポと書いてあります。ご存じのマーチのテンポを頭に思い浮かべ、決して速くなりすぎないようにして下さい。
解説文 : 熊本 陵平
(572 文字)
更新日:2024年10月9日
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解説文 : 熊本 陵平 (572 文字)
一部形式
a (1から4小節)+a1 (5から8小節)
調号にフラットが一つあり、Dマイナーコードで開始されるので、ニ短調のように思われるが、3小節7小節ではcisではなくc音であり、導音が機能していないことが分る。すなわち、d音を終止音(主音と同等)とした教会旋法であり、エオリア調である。
主題の特徴的なモティーフはd→f→e→dと初めの音に回帰する旋回音形であり、続く小節でf→e→dの下行形のみが繰り返されることでモティーフの特徴を部分的に強調している。更に続く2小節では2度上に移度して反復して終止する。本作品全体の構成としては、これが2回繰り返される。前半終わりはⅤ→Ⅵでの偽終止で、後半終わりで、Ⅴ→Ⅰでの完全終止となる。こうした終止形の違いをニュアンスの変化として表現するべきだと考える。
低音部を見ると、楽節の開始は和音第3音が最低音となる第一転回形であり、これが4小節間上行する順次進行となる。不安定な第一転回形で順次進行による構造で、横への繋がりがより強調されている。
行進曲風に、というタイトルの通り、一定の歩み(=行進)が繰り返されているが、主題のモティーフの執拗に繰り返される下行形順次進行により強い観念のようなものも感じられる。決して明るくはない調性において、こうした繰り返される動きは一体何を意味しているのだろう。
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