モーツァルト : 6つのウィーン ソナチネ 第1番(カウアーによるピアノ・ソロ編) 第1番 第4楽章 アレグロ
Mozart, Wolfgang Amadeus : 6 Wiener Sonatinen No.1 No.1 Mov.4
作品概要
ジャンル:ソナチネ
総演奏時間:2分40秒
著作権:パブリック・ドメイン
解説 (1)
演奏のヒント : 大井 和郎
(854 文字)
更新日:2025年10月9日
[開く]
演奏のヒント : 大井 和郎 (854 文字)
この楽章は、歌曲ではなく、器楽をイメージして弾いてください。モーツアルトの曲の「演奏のヒント」では、度々強弱記号に関して助言をしておりますが、この曲に関しても、p と f を鵜呑みにせずに、状況に応じてコントロールしてください。
冒頭、p から始まり、2小節目2拍目裏拍より4小節目1拍目表拍まで、F が書かれています。ここから先を見てみますと、右手に3つの音が来る和音のユニットはフォルテが書かれてあることがわかります。音数が多いだけ音量も大きいと考えて構いません。
ここで重要なのは、1小節目のpのセクションとこのFのセクションをどのように弾き分けるかです。冒頭pの部分は小編成のアンサンブルと考え、フォルテの部分は、また別のアンサンブルと考え、音質を異ならせます。この二つを聴いたとき、明らかに異なったアンサンブルにきこえれば良いのですが落とし穴があります。3小節目の最初の右手のGHDは、2小節目から下行してたどり着いた音なので、どうしても弱く弾きたくなってしまいます。ところが、この3小節目の最初の和音を弱く弾いてしまうことで、せっかく区別をしていたアンサンブルのグルーピングが曖昧になります。3小節目の最初の和音もある程度フォルテで弾くことで、はっきりとしたアンサンブルの弾き分けが可能になります。3小節目の最初の和音の音量を落とさないようにしてください。
以下、例えば16小節目の音も、オクターブ上のCから順次進行で降りてきますので、ついつい弱く弾きたくなりますが、同じ素材を保つためには弱くしすぎないようにします。
17〜33小節間、右手の2声に気を遣ってください。右手が2声になったら下の声部を可能な限り弱くして、はっきりと上の声部と独立させてください。特に、26〜29小節間は2声が混同して聴かれないようにしてください。