作品概要
楽器編成:ピアノ独奏曲
ジャンル:曲集・小品集
総演奏時間:2分00秒
著作権:保護期間中
ピティナ・ピアノステップ
23ステップ:応用4 応用5 応用6 応用7
楽譜情報:2件解説 (1)
演奏のヒント : 杉浦 菜々子
(740 文字)
更新日:2025年6月18日
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演奏のヒント : 杉浦 菜々子 (740 文字)
冒頭には “In a flowing manner, but with much flexibility” と記されていますが、これは「流れるように、しかし大いに柔軟に」という意味になります。一定のテンポに縛られず、自然な揺れや呼吸をもって演奏することが求められます。
この作品は印象派風の雰囲気をもち、ドビュッシーの《金色の魚》を意識して書かれたものと思われます。全体に幻想的で、神秘的な雰囲気を漂わせています。ソフトペダルを用い、水の中を静かに漂う金魚の様子を音で描くように演奏しましょう。4小節目に現れるスタッカートは、水面に跳ねる音を思わせる印象的な一節であり、想像を膨らませながら丁寧に表現したいところです。
テンポについては様々な解釈が考えられます。私自身、かつてはやや速めに演奏していたこともありましたが、現在はより幻想的な印象を重視し、ゆったりとしたテンポで、威厳をもって優雅に水中を漂う金魚を描くように弾いています。このように演奏すると、休符にも深い意味が生まれ、その余韻を味わうことができます。
41小節目からは “increasing” と記され、音量がffに向かって高まっていきます。テンポも自然に少しずつ速くなっていくでしょう。その後も音型に応じて自然なアゴーギクを加えると、より豊かな表現が生まれます。Tempo Ⅰの2小節前には “quickly” の指示があり、ここでは魔法のような輝きをもった響きを目指しましょう。Tempo Ⅰに戻ってからは、次第に音楽が静まり、金魚が水の奥へと姿を消していくような、沈みゆく印象で終わります。ひとときだけ姿を現し、美しい存在感を放った金魚が、再び深い静けさの中へと帰っていくような、幻想的な余韻が印象に残る作品です。
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(株)全音楽譜出版社

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