軽快なリズムにのせて高音域でベルの音を模したような音型が繰り返される、雪景色の中を駆けるソリの情景が目に浮かぶようなイマジネーション豊かな作品です。右手は鈴のような響きを意識し、左手はソリの推進力を表すように淀みなく演奏したいところです。8分休符は単なる間ではなく、次のフレーズに入る前の素早い呼吸として扱うと、メロディーに勢いが生まれます。10小節目でイ短調に転調し、右手に旋律が現れ、強弱もfからppへと変化します。この部分では、ソフトペダルを用いても良く、曇りがかったような柔らかな音色で表現すると効果的です。その後、和声の変化と共に強弱がpになったところでソフトペダルを離すと、音色の変化が際立つかと思います。続いて、mfを経てfへと向かう部分では、軽快なメロディーになります。スタッカーティシモを際立たせましょう。16小節目からは下降音型で一気に駆け降り、18小節1拍目のsfに向かって勢いを持たせます。そこからはリズミカルな場面です。アクセントを効果的に用い、足を鳴らすような感覚とともに強さだけでなく、しっかりとした重みを感じさせたいところです。26小節から29小節にかけてのクライマックスは、鐘の音が冷たい空気の中に響き渡るように力強く奏でます。30小節からは冒頭と同様の音型が戻り、遠くにソリが去っていくような静寂の締めくくりへと向かいます。