<13.アレグロ・ノン・トロッポ >
これは巨大な建物を連想させるような大きなプレリュードで、一人でピアノコンチェルトのソロとオケの部分を弾いているかのようにフォルテの限りを尽くしてください。しかしながらこの曲は1つ間違うと(演奏法を誤るとという意味です)何が何だかさっぱりわからなくなるような曲です。
さて注意点をまとめてみます。
曲の素材は大きく分けて3つあります。
1.半音階進行で進む部分でメロディーらしきメロディーがない素材 A とします。
2.大きな伴奏の中に単旋律のメロディーラインがある素材 Bとします。
3.右手と左手が2オクターブ離れていて、同じ音を弾いている、 メロディーがはっきりとわかる素材 Cとします。
それでは冒頭から見ていきましょう。冒頭は素材Aです(1-7小節間)。この中で、Cis C H Ais A Ais H His Cis と内声に半音階的進行が出てきます。それを最もよく聴かせるように弾いてください。
7小節目より素材B(7-16小節間)が登場します。和音の1番上の音(top)を聴かせるように演奏してください。メロディーは点線でどの音につなぐか譜面上に書いてありますね。
17小節目より、素材C(17-28小節間)が登場します。特にメロディーを出す必要のない部分ですが、カラーが変わるようなところ、例えば21小節目のカラーは変え、23小節目はピークのポイントである、等の一般的なシェーピングは守るようにします。
再び29小節目から素材Aに戻りますが、27、28とクレシェンドをかけ、スムーズに29に入ってください。
43小節目、この曲の最も大きなところです。grandiosoで演奏し、決して急がないように。
54小節目、更に大きくなる部分です。このような部分でも半音階的進行を忘れずに、この声部を優先してください。
さてこの曲のテンポですが、遅すぎず、速すぎずという言い方をするしかありません。何人かのお子様の演奏を聴きましたが、どれもゆっくりすぎると思いました。あまりにもゆっくりすぎると間延びがする曲でもあります。表示記号は、Allegro non troppoです。急がず、とはいえ基本はallegroです。くれぐれも遅すぎないように注意してください。