バッハ : カプリッチョ 「ヨハン=クリストフ=バッハをたたえて」 ホ長調 BWV 993
Bach, Johann Sebastian : Capriccio 'In honorem Johann Christoph Bachii' E-Dur BWV 993
作品概要
解説 (2)
解説 : ピティナ・ピアノ曲事典編集部
(178 文字)
更新日:2010年1月1日
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解説 : ピティナ・ピアノ曲事典編集部 (178 文字)
‘オールドルフのヨハン・クリストフ・バッハを讃えて’という副題が示す通り、亡き父に代わり教育をしてくれた兄ヨハン・クリストフに捧げるために書かれた曲。これは長大なフーガと見ることができるが、そこに絶えず新たな対旋律や間奏が登場し、またその間、様々な調へと目まぐるしく転調し、非常に変化に富んだ内容を持つ。兄に対する喜びが明るく軽やかに表現された佳品である。
演奏のヒント : 大井 和郎
(593 文字)
更新日:2023年10月29日
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演奏のヒント : 大井 和郎 (593 文字)
モデラートで弾いても6分以上もかかる、長いフーガです。音がなくなり休符になる箇所が殆ど見られず、曲は切れ目がありません。最後のカデンツまでは全く伱間なく音で埋め尽くされています。
この手の曲で恐ろしいのは、聴き手が飽きてしまう事で、メリハリのない演奏が延々と続けばそれは十分起こりえます。
この曲の演奏のヒントとしては、とにかくセクション毎にメリハリを付け、音質を変え、音量を変え、ムードを変え、変化を付けることにあります。
曲の最後をご覧頂ければおわかりになると思いますが、曲の最後の方は重厚な和音も登場し、かなりテンションも高く、音量も上げるべき書かれ方をしています。そこは問題ないのですが、それまでの道のりは大変長いので、とにかくなにかしらの変化が必要になります。
まずはテーマ(主題)をはっきり出すこと。これは必須です。次にシークエンスを平坦にしないこと。強弱の変化はシークエンスを利用します。時に、スビトピアノ、スビトフォルテなどの強弱も使ってみること。必要とあらばソフトペダルの使用も構いません。
そしてセクションを大雑把に分け、例えば、ダブルシャープの多く出てくるセクションは、全体をpの範囲に留めるなど、とにかく、セクション毎の変化、同じテーマでも調性によってムードを異ならせたり、tuttiの部分の把握、あるいはsolo部分の把握、あらゆる手段を使って平坦な演奏を避けて下さい。