作品概要
解説 (1)
演奏のヒント : 大井 和郎
(1126 文字)
更新日:2023年4月16日
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演奏のヒント : 大井 和郎 (1126 文字)
このアルマンドの演奏のヒントと言うよりは、注意点をいくつかお伝えします。まずテンポに関しては、決して速さ、忙しさを感じさせないテンポを設定して下さい。
次にレガートの話です。右手16分音符はほぼ切れ目無く書かれており、この16分音符に対してマルカートな奏法では無く、スムーズに横に流れるレガートで弾きたいところです。休符以外の場所は必ず音が鳴っているようにします。ペダルは、そのような意味で、ラインをスムーズに横に流すため用いて良いのですが、ここで要注意です。絶対に濁りを生じさせないことを念頭に置いて下さい。特に短2度の音程には濁らないように注意します。
濁りと切れ目を避ける事が上手くいかない場合、フィンガーペダル等も用いてもかまいません。
ここからは筆者の個人的な見解になります。例えば平均律第1巻の1番のプレリュードは4/4拍子です。この1小節目を例に取ります。少なくとも2拍間は同じ和声で非和声音が入ってきませんので2拍間、ペダルを踏みっぱなしでも濁りは生じません。
このアルマンドもそのような箇所があり、例えば1小節目2拍目は、Es G B Desという和音で、ここにも非和声音はありませんので、この拍間、ペダルを踏みっぱなしにしても濁りません。しかしそうすると今度は右手のGは16分音符3つ分も伸びてしまうことになりますし、次のBも8分音符分伸びてしまうことになります。
筆者であれば、音価を守るために、不必要にペダルを踏み続けることはしません。しかし、そのような細かいことを気にしないのであれば、濁らない部分にペダルを踏み続けてもかまいません。例えば、2小節目、1拍目は、D F Asという和音で構成されていますので、右手の2音目の16分音符であるGが非和声音になります。まともにペダルを踏み続けると、このGが濁りの原因になりますので、冒頭のDを弾いたらそれを指でのばし、Gを弾いたらすぐ指を離してペダルを踏むことで、Gを避ける事(ペダルの中の響きに入れないこと)が出来ます。ご参考まで。
このアルマンドの他の注意点はポリフォニーの秩序を守ることです。6小節目から右手は2声になりますので、声部の独立をして下さい。その時に大変細かいことなのですが、要注意点があります。6小節目、内声は16分休符があります。ですからそのように弾くのですが、7小節目の2拍目をご覧下さい、こちらは休符は無く、前の拍で伸ばされたFがタイで繋がれています。
このタイで繋がれたFは、絶対に次のAsまで切れ目を入れてはいけません。なぜならそれは、6小節目の1拍目のように、16分休符が入っている音型と同じに聞こえてしまうからです。これがポリフォニーの秩序を守るということです。
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