ハイドン :ソナタ 第20番 第2楽章 Hob.XVI:18 op.53-3

Haydn, Franz Joseph:Sonate für Klavier Nr.20 Mov.2 Moderato

作品概要

楽曲ID:38272
楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:ソナタ
総演奏時間:5分30秒
著作権:パブリック・ドメイン

ピティナ・ピアノステップ

23ステップ:発展2 発展3 発展4

楽譜情報:6件
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解説 (1)

演奏のヒント : 大井 和郎 (763文字)

更新日:2025年1月26日
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この第2楽章は、弦楽4重奏の要素が強く出ています。決して深刻な楽章では無く、楽しさと美しさの両方を持ち合わせている楽章です。注意点としては、例えばこれが本当に弦楽4重奏で弾かれたときを想定し、声部を独立させて聴かせる必要があります。しかしそのためには、まず奏者本人がからくりを理解していければならなく、理解する方法としては、声部を全て1声ずつ弾いて見ることです。

例えば20~35小節間の15小節間、声部同士はかなり近い位置にあり、聴き手に誤解を与えかねない部分です。例えば、ソプラノの声部を20~35小節間弾いてみて下さい。次にアルト、次にベースとそれぞれ単旋律で弾いてみて下さい。

次に、ソプラノとアルトを一緒に、次にアルトとバスを一緒に、次にソプラノとバスを一緒に、2声にして演奏し、最後に3声にするようにします。そうすることで、小節をまたいだタイが弦楽器によってしっかり伸ばされている事を意識でき、音楽を横に考えられるようになります。奏者は伸ばされている音が十分伸びているか、あるいは、休符がきちんと守られているか、細心の注意を払って音価を守り、伸びている音を「聴き続ける」ようにします。この、「伸びている音を聴き続ける」 という習慣は、西洋古典音楽の演奏をするにあたり、最も重要な要素の1つです。

シンセサイザーや音楽ソフトをお持ちの方は、例えば今の、20~35小節間だけでも、ヴァイオリン+ヴィオラ+チェロ の3声を打ち込んでから聴いて見ても、よくわかると思います。

ピアノは音が伸びない楽器です。音も伸ばせない、1つの音は弾いた後、クレシェンドもディミヌエンドもかけられない、ビブラートもかけられません。そのため、弾いた瞬間のアタックだけ耳で聴く癖ができてしまい、それが最終的にポリフォニーの秩序を乱すことに繋がります。

執筆者: 大井 和郎
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