1970年から75年にかけて間宮芳生は、前衛ジャズのオーネット・コールマン、セシル・テ イラーに魅せられ、ジャズへの関心に結びつけられた作品をいくつか手掛けていた。《ピアノ・ ソナタ 第2番》もそのころに書かれ、そうした作品のうちの一つであるが、本作でジャズのイディオムが用いられているわけではない。作曲者本人によれば、本作は1970年に作曲した無伴奏ヴァイオリン・ソナタと双児のような関係にあるという。間宮は、ヴァイオリンとピアノというヨーロッパの伝統的で美しい二つの楽器をその伝統から引きちぎり、何が何でも自己表現のために使い切るという攻撃的な姿勢をジャズの二人の鬼才から見出した。
東芝レコードの依嘱により1972年秋に着手し、翌年2月に第1楽章、5月に第2楽章が完 成した。1973年、野島稔の演奏により、東芝レコードで録音され、同年秋にピアノ協奏曲第2番とのカップリングで発売されている。芸術祭優秀賞を受賞。また同年の8月16日には、 アメリカのコネティカット州の音楽祭「チェスナット・ヒル・コンサート」にて田崎悦子が第1楽章を初演、翌年4月7日にヘルシンキで館野泉が全曲初演を果たしている。