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アレンスキー :12の前奏曲 第10番 Op.63-10 ニ短調

Arensky, Anton Stepanovich:Twelve Preludes No.10 d-moll Op.63-10

作品概要

楽曲ID:34404
楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:前奏曲
総演奏時間:4分10秒
著作権:パブリック・ドメイン

解説 (1)

演奏のヒント : 大井 和郎 (874文字)

更新日:2023年1月15日
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このプレリュードの注意点はとにかく伴奏とメロディーラインの音質を異ならせることに尽きます。伴奏部分の音符の多さはメロディーラインの何倍もの数であり、どうしても普通に演奏すれば伴奏の方が大きい音量となり、メロディーラインを消してしまいます。そうならないためには、伴奏部分をppで弾けば良いのですが、そこがこのプレリュードの難しいところで、下手をすればエチュードにもなり得る程難易度の高いプレリュードです。

そこで今回はこの左手(主に)の伴奏部分をどのようにすればppで演奏できるかをお教えします。ppで弾こうとするとどうしても音が抜けたり、ムラができたり、粒ぞろいが悪くなったりします。以下の練習方法でその問題が解決できます。1小節目の冒頭左手の、AF と FDのペアを例に取ります。

AFは4-1、FDは5-2,の指使いとします。その上でのお話になります。

1  5の指でFを押さえ、伴盤から離さない状態で、AF と D のトレモロを練習します。

2  1の指でFを押さえ、伴盤から離さない状態で、DF と A のトレモロを練習します。

3  1と5でFのオクターブを押さえ、伴盤から離さない状態で内声のD と A のトレモロを練習します。

4  4と2で、AとDを押さえ伴盤から離さない状態で 外声のFのオクターブのトレモロを練習します。

5  5と4で、F とAを押さえ、伴盤から離さない状態で、FとDのトレモロを練習します。

6  1と2で、FとDを押さえ、伴盤から離さない状態で、AとFのトレモロを練習します。

このような作業を行っていくと、上腕筋が張ってくる感触があると思います。そうなれば、効果が現れているという事になります。以上のエクササイズを実践した後に普通に演奏すれば、格段に楽になっているはずです。

7小節目、3拍目のトレモロは指が届かない人が殆どだと思いますので、上声部は右手で取るようにします。

この曲の描写は人それぞれとは思いますが、悲しみ、寂しさの表現であることは確かだと筆者は感じます。多くの思い出が交互に頭の中に蘇る描写でもかまいません。

執筆者: 大井 和郎

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