アレンスキー :忘れられたリズムに寄せて アルカイアの一節 Op.28-5

Arensky, Anton Stepanovich:Essais sur des rythmes oubliés Strophe alcéenne Op.28-5

作品概要

楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:種々の作品
総演奏時間:1分50秒
著作権:パブリック・ドメイン

解説 (1)

演奏のヒント : 大井 和郎 (1122文字)

更新日:2018年3月12日
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<アルカイアの一節>

この短い曲を演奏するにあたり、最も重要なことはリズムを正確に弾くことです。6/8という拍子は通常付点4分音符が1拍、つまり8分音符が3つで1拍なのですが、アレンスキーの場合、その1拍を3つに分けずに2つに分けてしまうことが多くあります。つまり、付点8分音符2つで1拍という、ちょっと考えるとこんがらがる手法です。付点8分音符が2つが1拍の中にあり、それぞれの付点8分音符2つに対し、別声部で16分音符がそれぞれ3つずつ入るとします。そうすると、あたかも4/4拍子に聴こえます。

そのままの状態で進めば4/4として、つまり付点8分が4分音符に聴こえ、別声部の16分音符3つは3連符に聴こえます。ところが、6/8の1小節間の拍数である2拍のうち、1拍は通常の6/8のリズムで、もう一方に付点8分を2つ持ってこられると、聴いている方の頭はかなりこんがらがります。実はこれ、アレンスキーの大得意とするリズムの書法なのです。

その書法はこの曲にも出てきます。どのような場合においても拍を感じながら演奏することを忘れないようにしてください。その他、例えば4小節目1拍めの16分音符は明らかに前の3小節目2拍目からの流れであることがわかります。ついつい、4小節目の1拍目を感じずに流れてしまいがちですね。そのような場所に注意します。そして余計なところで時間を取らず、6/8の拍を感じながら止まらずに進んでください。

25小節目、51小節目のフェルマータにも注意します。何を注意するかというと、フェルマータで伸ばした音符が「切れた瞬間から」テンポが再スタートします。つまり、26小節目と52小節目は8分休符5つ分を正確に数えます。フェルマータによって伸ばされていた音が切れた瞬間から8分休符を5つ数えて6つ目の音を弾いてください。とても重要なことです。

技術面において、16小節目、最初の右手の和音は手の大きな人でないとつかめません。もしも奏者の手が小さく、この和音がつかめない場合、通常であれば音を省略したりするのですが、外声部のfisとgisは重要な音であり、外すわけにはいきませんので、アルペジオでバラして弾くか、あるいは最初に左手をあたかも装飾音のように弾いてから、左手の助けを借りて一番下のfisを左手で、残り3つを右手で、4つ同時に弾くのが良いかもしれません。個人的には、アルペジオで下から上へバラしてしまうのではこの曲のキャラクターを失う感じがするからです。最終的には奏者の自由ですので、臨機応変に工夫してみてください。この曲の音楽的側面で大事なことは、あたかも高貴な貴族が会話をしているように、プライドを高く持って演奏することです。

執筆者: 大井 和郎
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