close

ブルクミュラー(ブルグミュラー) : 18の性格的な練習曲 森の中の目覚め Op.109-12

Burgmüller, Johann Friedrich Franz : 18 Etudes de genre (faisant Suite aux Etudes faciles op. 100) Le Réveil dans les Bois Op.109-12

作品概要

楽曲ID:34165
楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:練習曲
総演奏時間:1分10秒
著作権:パブリック・ドメイン

ピティナ・ピアノステップ

23ステップ:応用3 応用4 応用5 応用6 応用7

楽譜情報:12件
  • クリックして画像を開く
  • tab

解説 (2)

演奏のヒント : 大井 和郎 (763 文字)

更新日:2022年11月15日
[開く]

この曲は、楽しい新鮮な気持ちの描写です。8分音符の連打音は切れること無く1小節目から最後まで続きます。このような描写の際に、テンポが極端に遅かったり、あるいは8分音符が重たくなってしまうとそれは本来目指している描写ではなくなってしまいますので、ある程度のテンポを保ち、8分音符はスタッカートで軽く弾くことが必須になります。

以下は、左手が弾く基本形の和音の指番号が、下から 5 3 1 と仮定した上での話しで

す。

その時、左手の5の指に注意をしてください。あまりにも軽く弾こうとすると、バスを担当する左手の5の指が消えかかってしまう事が起こり得ます。バスの音はその上の音よりも最も聞こえなければならなく、バスが薄っぺらいと曲そのものの厚みもなくなります。

誤解しないで頂きたいのは、バスそのものがフォルテで弾かれなければならないということではなく。ppで弾く際にも、芯のあるppが欲しいという意味です。それには強靱な5の指の力が必要になります。

本来左手も右手も1の指が最も強い指なのですが、左手の1の指は和音の一番上の音を弾く場合が多く、最も欲しいバスの音は弱い5の指が担当することになるので問題が起きます。

練習方法ですが、和音の5の指のみ、つまりバスのみを弾き、その上に書いてある音は弾かないようにします。右手は普通に弾いてください。バスを担当する5の指は、まっすぐな状態でも駄目ですし、反り返ってしまっても駄目です。第1関節、第2関節ともに山のような形で打伴されなければなりません。

そうやって左手は5の指だけで、例えば5~12小節まで右手と合わせたとします。それができ

たら、今度は左手の和音の真ん中の音(3の指)を足します。そして最後に1の指をくわえ、楽譜どおりに演奏します。左手のバスがハッキリ聞こえることを確認してください。

執筆者: 大井 和郎

解説 : 佐藤 卓史 (456 文字)

更新日:2022年1月31日
[開く]

 いったいどんな経緯で「森の中」で目覚めることになったのかが気になりますが、非常に快活で飛び跳ねるような曲想の楽曲です。右手のオクターヴの跳躍と、左手の和音連打の練習で、13小節からは左右の役割が逆転します。終盤に向かってより技巧的に豪快さを増し、最後は一気呵成*に突進するように終わります。

* 一気呵成(いっきかせい):ひといきに、一気になしとげる

 演奏のポイント(原典 ♩=168) 

 8分音符の刻みを均等に保つことは言うまでもありません。スタッカートの演奏には指の俊敏な動きが不可欠ですが、『陽気な少女』でも解説したように「手首の柔軟性」も大事なポイントです。手首のバネを活用して打鍵動作をサポートするのに加えて、和音の連打ではバスケットボールでドリブルをするときのように、手首を支点にした屈伸運動が動作の主体となります。和音連打の際には、指の長さがそれぞれ違うことを意識しつつ、打鍵の深さを揃え、同じタイミング・同じ強さで発音するようにしましょう。

(東音版「ブルグミュラー18の練習曲」(NS61)より)

執筆者: 佐藤 卓史