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ブルクミュラー(ブルグミュラー) : 18の性格的な練習曲 夜明けの祈りの鐘 Op.109-9

Burgmüller, Johann Friedrich Franz : 18 Etudes de genre (faisant Suite aux Etudes faciles op. 100) La Cloche des Matines Op.109-9

作品概要

楽曲ID:34162
楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:練習曲
総演奏時間:1分50秒
著作権:パブリック・ドメイン

ピティナ・ピアノステップ

23ステップ:応用3 応用4 応用5 応用6 応用7

楽譜情報:13件
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解説 (2)

演奏のヒント : 大井 和郎 (1218 文字)

更新日:2022年11月6日
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この曲には2つの注意点があります。1つはBセクションのポリフォニーの秩序を守る工夫、もう1つはペダルです。

Bセクションから説明をしていきましょう。10~25小節間がBセクションと考えます。この中で、10~16小節間が2声になる部分になります。右手部分の音符で1つの声部は棒が下に向かって書いてあり、もう1つの声部は棒が上に向かって書かれてあります。

まず棒が下に向かって書かれてある内声のほうの話しですが、フレーズが向かうピークポイントの音はまず11小節目1拍目のCです。12小節目から始まる次のフレーズのピークポイントの音は、13小節目の1拍目Cの音です。3つ目のフレーズでは、15小節目のDes、次のフレーズでは17小節目のF、この合計4つの音が方向性を向けるべき音になります。

これら内声の4つのピークポイントの音の後は解決音になります。1つ目は11小節目の2拍目B、2つ目は13小節目の2拍目B、3つ目は15小節目15小節目2拍目のC、そして17小節目の2拍目Esです。これらの解決音は全て、ピークポイントの音から衰退して弱くなければなりません。ピークポイントの音よりも大きくなったり同じ音量になる事が無いようにしてください。

次に上の声部を見ます。11小節目2拍目より始まる、棒が上に書かれてある声部の1つ目のフレーズのピークポイントの音は、12小節目の1拍目Fisになり、次のフレーズでは14小節目1拍目のFis、次は16小節目の1拍目B、の3つになります。

次にこれらのピークポイントの音のすぐ右隣に書かれている音が解決音となり、12小節目2拍目のG、14小節目2拍目のG、16小節目2拍目のAsの3つです。

これらのピークポイントの音、解決音は、内声と同じ扱いをして、解決音がピークポイントの音よりも大きくなったり同じ音量にならないようにします。

このセクションの厄介なところは、これら2声がタイミング的にずれて入り乱れることで、例えば11小節目2拍目の上声部Asが始まりの音となりますが、ここは内声の終わりの音も同時に下に書かれており、内声の方は弱く、外声の方は強く弾かなければなりません。内声の方は1の指だと思いますので、ついつい力が入ってしまいがちなのですが、それら2声を同時にコントロールして、あたかも2重唱のように聞こえなければなりません。これがこのセクションの注意するべき点になります。

次にペダルの話しです。基本的に1小節に1回ペダルを踏み、次のバスが変わるまで踏み続けるとしてください。メロディーラインは同じ小節内に時に半音異なるラインもあるため、踏み続ければ濁りますが、1~2拍間はその和音の構成音である事が多く、非和声音は3拍目に来ることが多いです。しかし3拍目で踏み換えることをせず、バスを重要視して、ペダルを変えないようにしてください。ただし、8小節目や9小節目のような小節では、臨機応変に踏み換えてください。

執筆者: 大井 和郎

解説 : 佐藤 卓史 (498 文字)

更新日:2022年1月31日
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 カトリック教会で夜明け前に行われる祈りの儀式、「朝課」(matines)の際に打ち鳴らされる鐘の音がモティーフになっています。言うまでもなく、各小節の2拍目で左手が右手を飛び越えて奏する「ミ♭」が鐘の音です。まだ寝静まったままの暗い街並みに、教会の鐘が響き渡っていく情景を想像しながら弾いてみてください。

演奏のポイント(原典 ♩=84)

 書法的には、基本の3つの声部、すなわち「メロディー」「内声(ハーモニー)」「バス」に加えて「鐘の音」という、4つの要素に分かれています。前二者を担当する右手は、メロディーは朗々と、内声の8分音符はそれを邪魔しないように静かに。内声を弾く直前に、右手を弾きやすいポジションに移動させましょう。左手のバスはペダルとともに全体をしっかり支えて、そしてその上から鐘の音が響いてくるように、立体的に響きを設計してみましょう。9小節からの中間部では右手の2声のメロディーが対話するように。17小節の6度の重音はあまり問題ないのですが、18,19小節の3度重音は下の音をかなり小さく弾かないとバランスが取れません。

(東音版「ブルグミュラー18の練習曲」(NS61)より)

執筆者: 佐藤 卓史

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