このプレリュードはf-mollで書かれており、この調は、バッハ以来、運命の調とされてきました。このプレリュードは悲しみの表現も含まれていると思われます。最も気をつけたいのはテンポです。4分音符＝69 と書いてありますが、これより速いテンポ設定はお勧めしません。むしろこれよりも遅いテンポでも十分曲としては成り立ちます。4分音符＝65位のほうが落ち着きが出ます。そしてこの曲は2／2拍子では無く、4／4拍子です。そして、それでなくとも、Bセクションは、piu mossoと書かれており、こちらの方が更にテンポが速くなるからです。

曲の性格として、決して急いで圧迫されるような曲では無く、どちらかと言うと厳かで、ゆったりと進み、その中に美しさがあります。形式はABAですが、Aセクションは現実、Bセクションは夢的な幻想と考えます。

最後5小節間を観てみても、伸びている音を聴くようにして、決して急ぐことの無いテンポで弾いてみて下さい。