絶大な美しさを持つ曲です。アリアと考えても間違いではありません。例えば、女性歌手が1〜8小節間を歌い上げます。この曲主旋律です。9小節目より、もう1人女性が加わり、2重唱になります。しかし9小節目は2重唱、10小節目はオーケストラ、11小節目で再び2重唱、12小節目で再びオーケストラという風にも考えて良いと思います。そして、13小節目より2重唱でテンションがあがり、15小節目で、女性歌手の即興的なカデンツを迎えると言う考え方でも良いです。

基本的にはそこから先は変奏曲でもあるのですが、大変ドラマティックであり、層が厚く、４５小節目以降、ピークポイントに達するためにテンションが上がり、５０〜６０小節間をこの曲のピークポイントとして考えても良いと思います。そして50小節目に達する過程で、例えば36小節目からのカンタービレのような、美しい旋律が歌われます。

この曲は、平坦に弾こうと思えばいくらでも弾けますし、そうすることで立体感が無くなり、単純な和声進行を繰り返すだけの曲にもなりかねないのですが、逆に、歌の部分等を綺麗に、澄んだ音質で、たっぷり歌い上げる事で曲本来の美しさが生きてきます。