ハイドン :ソナタ 第54番 第1楽章 Hob.XVI:40 op.37-1
Haydn, Franz Joseph:Sonate für Klavier Nr.54 Mov.1 Allegro innocente
解説 : 齊藤 紀子 (236文字)
第1楽章のト長調はアッレグレット・インノチェンテ(インノチェンテは天真爛漫にと言う意)で8分の6拍子。この楽章は、ソナタ形式ではなくロンド形式で書かれている。そのロンド主題は、回帰する度に手を加えられている。ロンド主題か否かを問わず、楽章全体を通して、左右の並進行が随所に織り込まれている。また、冒頭の約3小節間の左手に主音が断続的に保続されていることが特徴的である。この潜在的な保属音は、この楽章の主要主題となるロンド主題に、安定感と気品をもたらしているように思われる。
ソナタ 第54番(ウィーン原典版番号)ト長調 第1楽章