ハイドン : ソナタ 第33番 第3楽章 Hob.XVI:20 op.30-6
Haydn, Franz Joseph : Sonate für Klavier Nr.33 Mov.3 Finale: Allegro
作品概要
楽器編成:ピアノ独奏曲
ジャンル:ソナタ
総演奏時間:4分00秒
著作権:パブリック・ドメイン
ピティナ・ピアノステップ
23ステップ:発展1 発展2 発展3 発展4 発展5 展開1 展開2 展開3
楽譜情報:7件解説 (2)
解説 : 稲田 小絵子
(129 文字)
更新日:2021年2月26日
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解説 : 稲田 小絵子 (129 文字)
交響的な広がりをもつ第1楽章に対して、この終楽章はピアニスティックな要素が顕著である。忍び足のような冒頭主題の不気味さや、十六分音符のパッセージの焦燥感が印象的。だが一方で、第2主題のカンタービレな楽想が緊張を緩め、協和した3度の響きが楽章全体を支えている。
演奏のヒント : 大井 和郎
(784 文字)
更新日:2025年1月26日
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演奏のヒント : 大井 和郎 (784 文字)
短調の曲ですが、悲観的ではありません。むしろある種の楽しい場面を想像出来る、劇的要素も感じられる第3楽章です。張り詰めた緊張感を感じさせる曲ですので、Pの部分でもテンションは高いままとお考え下さい。
冒頭2小節間がテーマとなります。その後に、例えば3~6小節間のように感情的に歌い上げたり、9~12小節間のように理性を捨てないパッセージもあります。テーマの後の数小節は、その性格に合わせて、表現を色々変えてみてください。
この第3楽章を初めて聴く人達にとって、何処が1拍目であるかという重要性は無視できません。例えば、最初、アーフタクトのCは1拍目と思う人もいるかもしれません。そうするとその後、1拍目を認識するまでにかなり困惑するはずです。52~53小節間のカウントも重要です。そこで1案なのですが、テーマの1拍目の非和声音を利用します。
1小節目1拍目右手のFは、本来ならばアパジャトゥーラという分析になってしまうのかも知れませんが、筆者は、予告無しの経過音と感じます。非和声音は本来、アプローチ→非和声音→解決音 の3つの音と決まっているのですが、この、アプローチの部分が欠けている非和声音も存在します。いずれにせよ、これが経過音だとして、拍の表に来ていることに重要性があります。経過音は本来、流れをスムーズにするために、裏拍の位置に来ることが多いのですが、このように表拍に来るという事は、逆に感情を強調したいという事になります。
アーフタクトのC、1小節目3拍目のDは、ppでスタッカートで弾き、強調しません。これらの音を強調してしまうと1拍目と感じられてしまいますので、それを避け、1小節目1拍目表拍のF 2小節目1拍目表拍のG を弾くとき、それぞれ本当に少しですが、アクセントを付けてみて下さい。こうすることで、1拍目の音を1拍目の音として聴かせることができます。