ハイドン : ソナタ 第33番 第2楽章 Hob.XVI:20 op.30-6
Haydn, Franz Joseph : Sonate für Klavier Nr.33 Mov.2 Andante con moto
作品概要
楽器編成:ピアノ独奏曲
ジャンル:ソナタ
総演奏時間:5分30秒
著作権:パブリック・ドメイン
ピティナ・ピアノステップ
23ステップ:発展4 発展5 展開1 展開2 展開3
楽譜情報:7件解説 (2)
解説 : 稲田 小絵子
(126 文字)
更新日:2021年2月26日
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解説 : 稲田 小絵子 (126 文字)
最初の1音からゆっくりと幅を広げる穏やかな第1主題で始まる。その展開的形態の第2主題では、前打音やシンコペーションによってリズムに動きが出るが、順次進行を中心とした旋律線の連続的なシンコペーションは、どこまでも続くかのような息の長いフレーズを要求する。
演奏のヒント : 大井 和郎
(759 文字)
更新日:2025年1月26日
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演奏のヒント : 大井 和郎 (759 文字)
この Andante con moto という表記を見ると、そこまでゆっくりなテンポではない感じもしますが、14小節目の1拍目のターンのような音符を、忙しくなく、メロディックに演奏しようとした場合や、20小節目3拍目の32分音符をを同じく、忙しくなく演奏しようとした場合、そこまで速いテンポ設定では無い事が判ります。その上でのお話になります。
例えば14~19小節間のように、左右が交互に出てくる音符、つまりは一方が表拍、もう一方が裏拍で、交互に出てくるパターンが実に多い第2楽章になります。通常、このようなパッセージを演奏する場合、片方の音量や音質を、もう片方とは異ならせる事で、硬さが取れ、音楽を横に流す事ができますが、この第2楽章のように、表拍の音符が2つ(3度)あり、裏拍が1つの音符の場合、どうしても表拍の2つの方が大きくなりがちで、この2声の音量調節は大変難しくなります。
また、45~50小節間のように、左手が3度ではなくとも、伴奏部分が表拍にあると、なかなかこれも音量調節が難しくなります。
そこで、con motoで問題を解決します。この、音符が交互に現れる第2楽章を、メトロノームの通りに、正確に弾けば弾くほど、演奏が縦割りで機械的になってしまう現象が起きます。この第2楽章は可能な限り、許される範囲内で、ロマン派の音楽に近づけてみてください。そして「方向性」を持たせること。この2つに尽きます。
例えば50小節目のピークポイントに達するとき、そこまでのシークエンスで十分な方向性を付け、50小節目で、テンポを最大限に引き延ばし、自由に歌うことで、この第2楽章の演奏は激変してきます。この第2楽章全体を、ロマン派の音楽のように、自由にルバートをかけて演奏してみてください。これが基本的なアイデアになります。