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ハイドン : ソナタ 第30番 第1楽章 Hob.XVI:19 op.53-2

Haydn, Franz Joseph : Sonate für Klavier Nr.30 Mov.1 Moderato

作品概要

楽曲ID:32171
楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:ソナタ
総演奏時間:9分00秒
著作権:パブリック・ドメイン
ピティナ・コンペ課題曲2025:F級

ピティナ・ピアノステップ

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楽譜情報:6件
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解説 (2)

解説 : 稲田 小絵子 (174 文字)

更新日:2020年2月9日
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アレグレット、ニ長調、4/4拍子。ソナタ形式。

付点リズムの典雅な響きをもつ第1主題とは対照的に、第2主題は耳につくようなホ音の連続から始まり、やがてアルペジオ伴奏による賑やかな雰囲気へと導く。この同音反復は土台としての安定感と前進力をもたらす一方、展開部で短調に転じたときには不安を煽る効果も担っており、この楽章でとりわけ特徴的な楽想となっている。

執筆者: 稲田 小絵子

演奏のヒント : 大井 和郎 (679 文字)

更新日:2025年1月26日
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基本的な考え方が重要な第1楽章です。そしてそれに伴い、テンポが決定されます。ハイドンの作品には深刻な心理状態を描写する作品も、少ないですが存在します。そして、寂しさを描写する作品もあります。しかし殆どの作品は楽観的で、生き生きした「楽しさ」を描写します。そしてその中に更に、ハイドン特有のユーモア、冗談、驚き、ふざけ、を描写した作品も多くあります。

この第1楽章は、やはりハイドン特有のユーモア溢れる作品となっていて、聴く者の期待を外したり、冗談を言うような場面もあります。

気をつけたいのは、この作品の美しさだけを追求してしまい、肝心のユーモラスな一面を、下手に真面目に捉えてしまう事にあります。

モデラートと書いてあるのでそんなに速くは弾かないという事ですが、それにも限度があります。例えば4~5小節目、あまりにもテンポが遅いと、このような箇所で音楽はとても重たくなり、軽快感が無くなり、結果楽しさが無くなってしまいます。

例えば19~20小節間を、適度なテンポで弾いてみて下さい。少なくとも、4分音符=90は欲しい事がわかります。そしてこのテンポでも、細かい音符は十分に弾くことができます。

67小節目で、細かいリズムを弾くとき、徐々に粒ぞろいが狂ってきて塊になってしまって、68小節目の和音を弾くアルペジオと同じ速度になってしまって良いのです。32小節目の32分音符は勿論正確に弾いて良いのですが、あまりにも丁寧に丁寧にという事ばかり頭にあると、せっかくハイドンが仕掛けた楽しいユーモアがなくなってしまいます。むしろ不器用な人が弾く面白さと感じても構いません。

執筆者: 大井 和郎
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