ハイドン :ソナタ 第11番 第1楽章 Hob.XVI:2

Haydn, Franz Joseph:Sonate für Klavier Nr.11  Mov.1 Moderato

作品概要

楽曲ID:32132
楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:ソナタ
総演奏時間:6分30秒
著作権:パブリック・ドメイン

ピティナ・ピアノステップ

23ステップ:発展1 発展2 発展3

楽譜情報:6件
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解説 (1)

演奏のヒント : 大井 和郎 (677文字)

更新日:2024年12月16日
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ハイドンの曲にはいくつかの種類があります。短調で書かれている作品を除いて考えた場合、普通に楽天的な曲と、もう1つはハイドン独自のいたずら心、冗談などの要素を取り入れた曲と2つに分けた場合、この第1楽章は明らかに後者の部類に分類されます。

このような、冗談、おふざけの要素をふんだんに取り入れて書かれた曲を真面目に弾くことほどつまらない演奏はありません。遊び心たっぷりで弾いてください。では実際にはどうすれば良いかというと、聴き手が期待している進行に逆らうような部分、笑い声に例えられる部分、明らかに冗談を交えた会話と捉えられる部分などを強調して弾くようにします。

例えば、和声進行に精通している聴衆であれば、25小節目に出てくる E は、本来は Es であるべきなのですが、ナチュラルで書かれていて、これは驚きの部分です。

31小節目、33小節目、35小節目、同じ事を何度もしつこく話すような部分です。36~ 37小節間、H と、7度も跳躍する A が、一瞬調性を失う様な錯覚に陥ります。

45~46小節間、ここは決して綺麗な部分ではありません。洒落た冗談を話す部分ですので、装飾はほぼ実音と同時に弾くことにより短2度や長2度のクラッシュを聴かせ ることができ、楽しさを表現できます。

これらの部分は、とても非常識的な書法です。何事もなく弾くのではなく、それなりに面白さを表現してみてください。

展開部ではハーモニックシークエンスが多く出てきます。この「心地よいしつこさ」もハ イドンの魅力です。シークエンスは決して平坦にならないように、強弱で工夫をしてください。

執筆者: 大井 和郎