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ハイドン : ソナタ 第1番 第1楽章 Hob.XVI:8

Haydn, Franz Joseph : Sonate für Klavier Nr.1 Mov.1 Allegro

作品概要

楽曲ID:32102
楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:ソナタ
総演奏時間:2分00秒
著作権:パブリック・ドメイン
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解説 (2)

【概要・演奏へのヒント】 : 濵田 眞子 (703 文字)

更新日:2022年6月23日
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ト長調。4分の2拍子。

冒頭から軽快な付点のリズムで音楽がはじまる。その後、それに答えるように3連符のリズムも出現する。単純音符で素朴に構成されるパッセージと、コロコロと転がるようなチャーミングな3連符の対比がこの曲のおもしろさをつくっている。第2主題では、どこからかかわいらしい裏拍の同音連打が聞こえてきて、属調であるニ長調で一旦終止される。

展開部では、提示部の時よりも長く連なった3連符が出現し、ひとつひとつのフレーズも少し長くなったように感じる。右手の8分音符と左手の16分音符が10度の響きでデュエットのように動き、細かい転調を経て、ト長調の半終止で場面が終わる。

再現部では、提示部では3度の響きだった旋律の合いの手が、低音部で、オクターブの響きへと変化している。これにより1楽章のクライマックスを迎えたような豪華さを感じることができる。ソナタ形式に基づいて、第2主題もト長調のまま明るく曲が閉じられる。

ト長調の響きにぴったりの、明るい音で弾きましょう。

4分の2拍子のAllegro。マーチのような、前に進むエネルギーを感じます。付点音符、16分音符、8分音符、3連符…どの音符も停滞せず、いきいきと推進力をもって。第2主題の裏拍の同音連打は、食いつき良く。すべて同じ表情の音で棒弾きになってしまわないよう、天から降りてくる、または遠くから近づいてくるようなイメージをもって。左手の、ぐっとのぼってくる動きにも助けてもらいましょう。左手と右手がデュエットで綺麗に調和する部分は、2つの響きをよく聴いて、バランスに注意しましょう。音符の種類による性格の違いについて考えながら、表情豊かに演奏しましょう。

執筆者: 濵田 眞子

演奏のヒント : 大井 和郎 (448 文字)

更新日:2024年11月18日
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とても楽天的で楽しいソナタです。やはり弦楽四重奏が根本にあるソナタと考えます。ヴァイオリンの軽快なボーイングを思い浮かべ、ここはヴァイオリン、ここはチェロ、と振り分けてみましょう。筆者の見ている楽譜には、強弱記号があまり書かれておらず、書いてあっても何故か、括弧の中に書かれております。つまりは、~であろう という曖昧な記述になっています。

故に、割と奏者が自由に強弱を決定しても良いのではないかと考えられます。例えば、冒頭4小節間はpで進んだとして、5小節目では左手が突然オクターブになりますので、突然フォルテになり、6小節目では突然ピアノに戻るような、ハイドン独自の遊び心をもって、サプライズ的な強弱の変化があっても良いかもしれません。

後半、例えば17小節目よりピアノで19小節目まで進み、20~21小節間を突然メゾフォルテで、2拍目裏拍から21小節目1拍目までのソプラノだけはピアノで演奏し、再び21小節目1拍目裏拍よりメゾフォルテ、など、自由にアンサンブルを組んで楽しく表現してみて下さい。

執筆者: 大井 和郎