リスト :すべての長・短調の練習のための48の練習曲(24の練習曲) 第12番 S.136 R.1 変ロ短調

Liszt, Franz:Étude en 48 exercices dans tous les tons majeurs et mineurs Allegro non troppo b-moll

作品概要

楽曲ID:32006
楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:練習曲
総演奏時間:2分00秒
著作権:パブリック・ドメイン

ピティナ・ピアノステップ

23ステップ:発展2 発展3 発展4 発展5 展開1 展開2 展開3

楽譜情報:1件

解説 (1)

演奏のヒント : 大井 和郎 (808文字)

更新日:2018年3月12日
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第12番

このエチュードも11番と同じく古典的書法で楽譜が書かれていて、即興的に演奏するよりは、テンポ、リズム通りに進んでいくことが望ましいのかもしれないのですが、それでも音楽的ニュアンスを忘れないようにして、大事なところではそれなりの表現がなければなりません。主題は4小節目の4拍目から始まります。そして、28小節目がゴールになります。その長い道のりを把握した上で、そこへ音楽を導いていかなければならなく、平坦で何事もないような演奏を避けるようにします。

4小節目4拍目から始まる第1主題は、まず6小節目1拍目のEsにたどり着き、ここはテンションを上げ、8小節目の1拍目Bにたどり着いてレゾルーション(解決)になり、落ち着きます。第2主題は、12小節目4拍目から始まり、14小節目1拍目のEにたどり着きますが、このEは特別な音です。音色を変えるなり、ルバートを使うなりして、大切に表現してください。これ以降、シークエンスが続き、その度にテンションを上げ、28小節目に達するように演奏します。  28小節目に達して一連の強いテンションは、38小節目まで徐々にdiminuendoをかけ、再び第1主題に入ります。次のゴールは、1回目のゴールよりもさらにテンションは上がります。50小節目を目指してください。

基本的に、左右の手で弾かれる3連符はできる限りぼやけるような音色にして、はっきりとマルカートにしないようにします。勿論ペダルは必須です。そしてメロディーラインこそはっきりと聴かせるようにバランスをとります。その際の3連符の演奏法なのですが、前述したような音色の他に、常に落ち着きのない波を立たせるようにします。コンピューターのように正確なタイミングではなく、多少のルバートを使い、全ての3連符の音の長さが同じにならないように多少揺らします。

そうすることで落ち着きのなさや、不安定な気持ちなどを表現することができます。

執筆者: 大井 和郎

楽譜

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