リスト :すべての長・短調の練習のための48の練習曲(24の練習曲) 第7番 S.136 R.1 変ホ長調

Liszt, Franz:Étude en 48 exercices dans tous les tons majeurs et mineurs Allegretto con molta espressione Es-Dur

作品概要

楽曲ID:32001
楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:練習曲
総演奏時間:2分30秒
著作権:パブリック・ドメイン

ピティナ・ピアノステップ

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楽譜情報:1件

解説 (1)

演奏のヒント : 大井 和郎 (965文字)

更新日:2018年3月12日
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第7番

この曲は、第3版の11番と同じ曲で、スムーズに横に流れなければなりません。そのためには、主に2つ重要な注意点があります。

1 表拍と裏拍の音符とのバランスを考える

この曲に限らず、どの曲にも言えることなのですが、右手と左手に互い違い(交互のタイミングで)音符が書かれている曲は、右、左、右、左と音を弾くこと(聴くこと)になり、これで既に横の流れを失い、硬く機械的な演奏になってしまいます。つまり、右の音符が8分音符なのですが、それが次の8分音符にたどり着く途中で左手の8分音符が鳴らされると、耳は瞬間的に左を聴いてしまい、右手の伸びを妨げます。つまりはポリフォニーの秩序が乱される結果となります。

コツとしては、バランスを最重要課題と考え、どちらかの声部を極力落とします。そうすることで、2つのラインが独立して横に進み、流れを妨げることなく演奏ができます。この曲の場合、メロディーラインは右手にありますので、左手をpppにすることでバランスが保てるでしょう。

 2 ルバートを使い、自然な流れを作る

フレーズ毎にルバートを使い、「拍を感じさせないように」演奏することで、横の流れを作ることができます。フレーズの最初はゆっくりと始まり、途中前向きに進み、フレーズの終わりで再びゆっくりと終わるようにします。

その他の注意点をまとめます。

 ◉ 強弱記号の「位置」に注意します。強弱記号は新しいフレーズが始まるところに書かれている場合が多いですので、どの音符からその強弱記号が書かれているか注意して見てください。

 ◉1小節目と27小節目の違いは左手の音符の書き方にあります。1小節目や3小節目のように、バスが2分音符で書かれているフレーズはある程度ペダルでバスの音を伸ばします。逆に27小節目のような書き方の場合、細かくペダルを変えて良いでしょう。

 ◉ 17小節目以降、右手に新たなメロディーラインが入ってきます。これは1番上にありますので、最も強調して良い声部だと思います。

 ◉ 当然といえば当然ですが、和音はtop notesをはっきりと聴かせるようにします。このtop notesがメロディーラインになります。

 ◉ 37小節目、カデンツは即興的に、しかし38小節目は4分の4拍子のin tempoに戻りますので、ここは速くはしません。

執筆者: 大井 和郎

楽譜

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