リスト :すべての長・短調の練習のための48の練習曲(24の練習曲) 第6番 S.136 R.1 ト短調

Liszt, Franz:Étude en 48 exercices dans tous les tons majeurs et mineurs Molto agitato g-moll

作品概要

楽曲ID:32000
楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:練習曲
総演奏時間:1分30秒
著作権:パブリック・ドメイン

ピティナ・ピアノステップ

23ステップ:発展2 発展3 発展4 発展5 展開1 展開2 展開3

楽譜情報:1件

解説 (1)

演奏のヒント : 大井 和郎 (1007文字)

更新日:2018年3月12日
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第6番

このエチュードはとにかく速い速度が必要になります。表示記号はMolt Agitatoです。落ち着きのない様子を表現したいのですが、そのためにはある程度の速いテンポが不可欠です。そしてテンポは安定せず、精神的に不安定な描写を再現しなければなりません。ゆえに、一定のテンポで進まず、常に伸縮するアコーギクが必要にもなります。楽譜上に記されている基本のテンポは、4分音符が138とあります。筆者が演奏した時は、146位でした。

このような状況で演奏した場合、左手の5の指は強靭な力が必要になります。ブダペスト版の校訂者であるZempleni氏はこの曲集を3レベルに分けた時、この曲を最も難しいレベルに入れています。先生方は、お弟子さんにこの曲を与える時、技術的に未熟な生徒さんには注意して与えてください。

◉ メロディーラインは、右手の16分音符3つのユニットで、最も高い位置にある、2番目の音とお考えください。1-5小節間であれば、D B Es D C B A Es G Fis になります。

◉ ペダルは基本的に和音が変わるところで踏み変えれば良いでしょう。

◉ この曲で最もテンションの高まるところが、46小節目になります。12小節目からスタートして、時に一瞬テンションが緩む部分もありますが、46まで、徐々に圧迫してください。46に入ったら、ブローディングを行い、ルバートをかけ、テンポを少し遅くします。

◉ 随所にsubito p や、subito フォルテがあります。in tempoで演奏するのが難しい場合、タイミング的に少しだけ間を空けるか、subito p の部分だけわずかに時間を取っても良いと思います。

◉ 調がセクションによって目まぐるしく変わります。カラーを変えてください。

◉ 右手、3つの16分音符で最初の16分には、別方向に付点8分の旗が付いています。リストが何故このような書き方をしたのかは不明ですが、この音は1の指が担当しますので、大きな音を出すことはできますが、メロディーラインを優先してください。この旗の目的は、察するに、フィンガーペダルと同じ役割を果たすこと(和音のメンバーである、根音、第3音、第5音などを残すため)としたのではないかと思います。同じく、左手の16部音符にも別方向から4分音符が書かれており、これはバスを常に響かせておいて欲しいという手段だと考えられます。

執筆者: 大井 和郎

楽譜

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