リスト :すべての長・短調の練習のための48の練習曲(24の練習曲) 第5番 S.136 R.1 変ロ長調

Liszt, Franz:Étude en 48 exercices dans tous les tons majeurs et mineurs Moderato B-Dur

作品概要

楽曲ID:31999
楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:練習曲
総演奏時間:2分30秒
著作権:パブリック・ドメイン

ピティナ・ピアノステップ

23ステップ:発展2 発展3 発展4 発展5 展開1 展開2 展開3

楽譜情報:1件

解説 (1)

演奏のヒント : 大井 和郎 (1202文字)

更新日:2018年3月12日
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第5番

このエチュードを演奏するにあたり考えなくてはならないことは、ロマン派の頭と古典派の頭を両方同時に持つことと言えます。ツェルニーやベートーヴェンの影響が随所に見られる一方で、ロマン的な書法も見られます。奏者はそれぞれの場所を判断し、「弾き分け」をしなければなりません。どちらか1つの時代を貫いて演奏すると、理にかなわない部分が多く出てきます。

では1小節目から見ていきましょう。ペダルは基本的に1拍に1つと考え、和音が変わるたびにペダルを変えていきます。2小節目は、左手に8分休符がありますが、これを厳格に守ってしまうと、横に流れる流れが止まってしまいます。ここはとても主観的に考えて良いと思いますので、8分休符を守ってこの小節をドライにしても否定はしませんが、ペダルを無くして演奏をすると、右手のパッセージも硬く聴こえてしまいます。筆者の個人的な考えではありますが、この休符はロマン派独自のジェスチャーの休符であって、実際に短く切る休符ではないと考えています。

奏者はどちらも試してみて判断してください。さて、16小節目までこの流れが続きます。当然ですが、右手の内声はできる限り小さく弾き、外声を聴かせるように演奏します。17小節目からは突然ムードが一変します。このような部分が古典的な影響を受けている部分ですので、ここはペダルを無くしてしまいます。18小節目でロマン派に戻り、また19小節目で古典派の書法が来ます。17、19、21 はペダルなしで。18、20、はペダルを入れます。

22小節目以降も一見古典派に近い書き方ではありますが、バスの2分音符を尊重し、ペダルを入れるようにします。26小節目1-2拍は低音に16分音符の音階が入ってきますので、ここはペダルを入れません。3-4拍はペダルを入れて良いです。27小節目は16分音符が左手にあるものの、アルペジオですので、ペダルを入れて良いでしょう。30小節目、完全な音階ですのでペダルを無しにするか、控えめにしましょう。

38小節目の3-4拍目からは、筆者であればペダルを入れます。40-41小節間、ペダルは1拍毎に。42-43小節間、ペダルは1小節毎に。以下同様に処理します。例えば、50小節目のようなところは、バスのcisを1小節分伸ばしたいので、ペダルを1小節間踏みっぱなしにします。

メロディーラインもつながります。この小節は、Fis A Cis という和音で構成されておりますが、左手に(ヘ音記号に)、Gisがありますね。これが結局のところ濁りの原因となるのですが、そのような箇所をロマン派の頭に切り替えて欲しいのです。濁りを気にせずに、踏み続けて下さって大丈夫です。以降、これまでの提案を参考にペダリングを決めて下さい。

ペダルを入れるロマン派的な部分は、ルバートをかけても良いでしょう。一方古典派的な部分はテンポを崩さずタイミングを守ります。

執筆者: 大井 和郎

楽譜

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